タイリクコムラサキ

学名:Apatura ilia
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:3 – 4cm前後
- 時期:5 - 9月
- 分布:ヨーロッパ・東アジア

分類
タイリクコムラサキはタテハチョウ科に属しており、その中のコムラサキ亜科に分けられていてます。
コムラサキ亜科のコムラサキ属に分けられています。
コムラサキ亜科はオオムラサキ・シロコムラサキなど多数存在します。
生態
通常は1年で1回発生する一化性ですが、暖かい地域では2回発生する二化性です。
生息域
ヨーロッパのほとんどに分布していますが、北ヨーロッパには分布していません。
東アジアではロシア、中国、朝鮮半島で確認されています。日本に生息しているかは不明です。
主にヨーロッパ、東アジアに生息しています。
森林、林端、渓谷に生息しています。


成虫
タイリクコムラサキは日中に活動し、獣糞や腐肉などの汁を吸います。花には訪れません。また、植物の樹液を食べるアブラムシが分泌する甘露を吸います。
甘露は糖が多い粘りのある液体で、色は蜂蜜と似ています。
タイリクコムラサキは獣糞や腐肉をめったに目にすることはなく、栄養の大部分を甘露で補っていると考えられています。
翅を開張すると5 – 7cm前後になる、中型のチョウです。

幼虫
成熟した幼虫の体色は緑色で、体の中央に黄色のV字の模様があります。体中に黄色の小さな斑点が散りばめられています。
頭部に茶色のまたは黄色の二対の大きな角が生えています。背面にこの角を起点とした黄色の線が走っています。
食草はヤマナラシ、セイヨウハコヤナギなどのヤナギ科の葉を食べます。

成虫の見た目


タイリクコムラサキは翅の美しい紫色の金属光沢と後翅の縁の黒点が特徴的です。
翅の表側には紫色の金属光沢があります。翅の中央付近には両方の翅を横断するようなオレンジ色の帯模様があります。またオレンジ色の模様に黒い小さな斑点があります。前翅の茶色とオレンジの縁には白い斑点があります。
後翅には茶色の縁にオレンジ色の大きな斑点があります。このオレンジ色の斑点に黒い斑点が重なっています。
全体的に日本に生息しているコムラサキ(学名:Apatura metis)に非常に姿が似ています。見分け方は表側の後翅のオレンジ色の大きな斑点にある黒い斑点の有無です。
黒い斑点が無ければコムラサキ、黒い斑点があればタイリクコムラサキです。
タイリクコムラサキの翅の裏側は表側と大きく異なります。
翅の裏側は白っぽい茶色です。前翅は表側の模様が全体的に白っぽい茶色になり、白い斑点があります。後翅には茶色と白の帯模様があります。
オスだけに紫色の金属光沢があり、メスはこげ茶色です。


コムラサキの生活史
コムラサキはほとんどの時間を樹木の上部で過ごしています。特にメスは樹木の最上部である樹冠から降りることはめったにないといわれています。
しかし、時々餌を摂るために木から降りることはあります。
交尾はオスとメスが一緒に丘の上や樹木の最上部に移動し、そこで求愛と交尾が始まります。
交尾後、メスは太陽に照らされた日当たりのいい木々の葉の表側に産卵する傾向があります。樹冠から降りるのは餌か産卵の時だけです。
一方、オスは次のメスを探す前に、交尾のために獣糞や腐肉や甘露などを食べて栄養を補給します。


まとめ
コムラサキ亜科はオスの翅が金属光沢を持ち、メスが茶色などの地味な色をしているのが特徴です。

