オオカバマダラ
学名:Danaus plexippus
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:4 – 5cm前後
- 時期:1年中
- 分布:北アメリカ
生態
夏の間カナダなどで発生を繰り返す。成虫の寿命は世代によって異なると言われています。
生息域
おもに北アメリカのカナダ南部から南アメリカ北部にかけて分布するが、西インド諸島、太平洋諸島にも分布する。
日本では小笠原諸島や南西諸島で発見された記録があるが、季節風や台風などに乗って日本へやってきた「迷蝶」とみられる。
また、ロシア、イギリス、スウェーデン、スペインでも、迷蝶としてしばしば記録される。
成虫
オオカバマダラは日中に活動し、様々な蜜植物などに集まり、吸蜜する。
ゆっくりと飛ぶが、飛行能力にすぐれていて、あまり羽ばたかずに気流に乗って長距離を飛び続けることができる。
翅を開張すると8 – 10cm前後になる。
また、オオゴマダラと同様に食草のガガイモ科に含まれるアルカロイドを体内に持ったまま成虫になるので、ほかの動物から捕食されるのを防いでいる。
幼虫
幼虫の体色は白、黄色、黒の特徴的な縞模様をしている。頭部、尾部から黒い触手が生えている。長さは約4.5cmになる。
派手な色をしているが、これは捕食者に毒を持っていることを知らせる警戒色といえる。
食草はガガイモ科のトウワタなどを食べる。
成虫の見た目
翅は黄褐色で、静脈と縁は黒であり、縁には小さな白い斑点が続きます。
オスとメスを比較すると、オスは後翅の腹部に近い部分に黒い斑点がある。メスにはこの黒い斑点がなく、黒い翅脈がオスよりも太い。
旅をする蝶
オオカバマダラは「渡り」をする蝶として有名です。また、オオカバマダラは世界でもっとも分布が広い蝶の一種です。その大移動の様子は次のようになります。
渡り
春はカリフォルニア州からメキシコにかけてで見られ、これらは世代交代を繰り返しながら徐々に北上し、夏になると北アメリカ中部まで移動します。
そして8月頃、北アメリカ中部で羽化した成虫が交尾もせず、南下をはじめます。この世代は多くの花から蜜を吸い、体内に栄養を大量に蓄えます。この栄養をエネルギーにして、春に移動が始まったカリフォルニアからメキシコにかけての地域を目指します。
カリフォルニアからメキシコにかけての距離は南北約3500kmほどで、1年のうちに北上と南下を行う。
ロッキー山脈から東ではメキシコで越冬し、西ではカリフォルニア州の中部から南部で越冬する。10月頃にはこの地域の森林地帯で、木の枝に鈴なり状態となったオオカバマダラがみられます。
また、不思議なのは毎年同じ木に蝶たちが集まる事で、何故同じ場所に戻ってくるのかは未だに解明されていません。
まとめ
北アメリカではオオカバマダラは「Monarch」(帝王)と呼ばれ親しまれています。
特にオオカバマダラが飛来するメキシコでは、死者が家族の元に帰るものとして賑やかな祭りが催され観光化しています。
また、教育目的で学校や自然センターで飼育されていて、記念行事、結婚式での蝶の大量解放は人気があります。このようにオオカバマダラは広く愛されている蝶です。