キョウチクトウスズメ
学名:Daphnis nerii
- 分類:スズメガ科
- 前翅長:4 – 5cm前後
- 時期:5 - 10月
- 分布:アフリカ・東南アジア
生態
地域によって1年での発生数は異なります。
ヨーロッパ、日本では2回発生する二化性、アフリカ、インドシナ半島では数回発生を繰り返す多化性です。
生息域
アフリカ、ヨーロッパ南東部に生息していますが、島から島へ移動する渡りをする個体もいます。インドシナ半島などの東南アジア、ハワイ諸島でも確認されています。
日本では九州、奄美大島、南西諸島に生息しています。
主にアフリカ、ヨーロッパ南東部、東南アジアに生息しています。
森林、河川、庭園、オアシスなどに生息しています。
成虫
キョウチクトウスズメはペチュニア、ジャスミン、スイカズラ、サポナリアなどの香りのよい花を好み、吸蜜します。
夕暮れ~夜間に活動し、寿命が尽きる前に番(つがい)を探します。日中は葉の裏側などに隠れていますが非常に用心深く、刺激を与えられると日中でも飛行します。
オスがメスと出会えば交尾が始まります。 交尾は約4時間続きます。
また、メスは宿主植物の葉の両側に約4個の卵を並べます。卵は5~12日で孵化します。
翅を開張すると9 – 11cm前後になる、中型の蛾です。
幼虫
成熟した幼虫の体色は明るい緑色で、側面に白い帯があります。背面と側面には小さな白い斑点があります。
頭部付近に大きな眼状紋があります。体がのびるとはっきりとした丸い目のように見えます。眼状紋は中心から白、水色、黒になっています。
スズメガ科の幼虫の特徴である「尾角」があります。若い幼虫は長い黒色の尾角ですが、成長するにつれて尾角の色がオレンジ色に変わり、短くなっていきます。
また、蛹になる直前に体色が茶色へと変化します。
幼虫は最大で8cm前後になります。
食草はキョウチクトウ、ニチニチソウなどのキョウチクトウ科の植物を食べます。
成虫の見た目
キョウチクトウスズメは迷彩柄の鮮やかな翅が特徴です。
基本的に翅全体は緑色で構成されています。前翅は濃い緑、茶色、白、灰色、薄いピンク色などの迷彩柄のような模様をしています。
後翅は中心から灰色が広がっていて、縁には白、茶色の帯模様があります。
胴体は緑色で端が濃い緑色になっています。脚は薄い黄色で、腹部は緑、濃い緑、白色になっています。
触角は薄い黄色です。
オスメスともに見た目に大きな違いはありません。
キョウチクトウスズメと夾竹桃
キョウチクトウスズメの名はキョウチクトウ(夾竹桃)を幼虫が食草としていることから名づけられました。
キョウチクトウはインド原産の木で和名は葉が竹に似ていること、花が桃に似ていることから付きました。
キョウチクトウは強力な毒を持つ木です。毒性がある部分をリストにすると次のようになります。
- 花
- 葉
- 枝
- 果実
- 根
- 周辺の土壌
- 木を燃やした時の煙
木全体はもちろん周辺の土壌、木を燃やした時の煙にも毒が含まれています。
毒の成分はオレアンドリンという強心配糖体で、人間の場合致死量が青酸カリを上回るほど強力な毒です。過去に死亡者が出た例があります。
キョウチクトウスズメの幼虫はキョウチクトウの毒に耐性があり、花や葉を食べて成長します。毒をどのように分解しているのか、どのようにして耐性を持ったのかは、解明されていません。
また、キョウチクトウスズメの体内に毒が存在するかは不明です。
まとめ
キョウチクトウは乾燥や大気汚染に強い園芸種でもあります。そのため、日本では広島県広島市や鹿児島県の鹿児島市などの市の花に指定されています。
九州などにキョウチクトウが植えられているため、日本へ渡って来たキョウチクトウスズメが生息するようになったと思われます。