エラートドクチョウ

学名:Heliconius erato
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:3 – 4cm前後
- 時期:一年中
- 分布:中央・南アメリカの一部

分類
エラートドクチョウはタテハチョウ科に属しており、その中のドクチョウ亜科に分けられていてます。
ドクチョウ亜科のドクチョウ属に分けられています。
ドクチョウ属はチャリトリアドクチョウ・イスメニウスドクチョウなど多数存在します。
生態
1年に数回発生を繰り返す多化性です。成虫は最大9ヶ月間生きることが知られています。
生息域
中央アメリカではメキシコ、グアテマラ、コスタリカなど、南アメリカではアルゼンチン北部とパラグアイにかけて生息しています。主に中央・南アメリカの一部に生息しています。
まれにアメリカ合衆国テキサス州南部で見つかることがあり、6 – 9月にかけてみられます。
熱帯雨林、森林、庭園、果樹園などに生息しています。


成虫
エラートドクチョウは日中に活動し、ハメリア、ランタナ、パリコウレアなど様々な花から吸蜜します。
ドクチョウ属の中でも、メスは花粉と蜜を食べます。 花粉に含まれているタンパク質などの栄養を、溶解して液体に変えることができる唾液を生成します。
まず、口吻の中に花粉をまとめて集めます。次に栄養を取り出すために、口吻をコイル状にし、伸ばすことを繰り返すことによって、唾液と花粉をかき混ぜます。
この唾液を使って花粉をアミノ酸などが入った栄養価の高い栄養源に変えます。
蜜または他の供給源から得ることができないアミノ酸は蝶の寿命に大きく貢献しています。そのため、蝶の中では寿命が長く、成虫は最大9ヶ月間生きることができます。
翅を開張すると6 – 8cm前後になる、中型の蝶です。

幼虫
成熟した幼虫の白色で、オレンジと黒の小さな斑点とが並び、長い黒い棘が節ごとにあります。
頭部は薄い黄色、腹側は黒色で疣足はオレンジ色です。
食草はパッシフロラなどのトケイソウ科の植物を食べます。
トケイソウ科植物には有毒アルカロイドが含まれており、成虫になった後も毒として機能しています。

成虫の見た目


エラートドクチョウは前翅のマゼンタ色の帯模様と後翅の白色の横線が特徴です。
前翅の下地は黒色でマゼンタ色の帯模様があります。後翅は翅の内側に白色の横線が足ます。また、触角は黒色です。
翅の裏側の模様は表側と変わりませんが、色は裏側の方が明るいです。また、翅の根元付近に小さな赤い斑点があります。


様々な亜種
エラートドクチョウは体内に毒を持つ毒蝶で捕食者にとって、不快な蝶です。
そのため、エラートドクチョウはミューラー擬態の仲間として亜種が進化し、捕食者を阻止するために他の種と模様のパターンを共有しています。
有毒で口に合わないという特性を共有するさまざまな蝶の種は、同じ模様を共有するように進化します。この保護特性を相互に宣伝し、それによって捕食者に危険性を認識させる擬態のことをミューラー擬態といいます。
エラートドクチョウの亜種の一部をリストにすると次のようになります。
- H. e. petiverana ・・・一番エラートドクチョウと同定できる亜種
- H. e. chestertonii ・・・翅全体が青い金属光沢
- H. e. microclea ・・・前翅に赤い斑点が2つ並んでいる。白線模様はない。
エラートドクチョウだと一番同定できる亜種が「H. e. petiverana」です。上記の画像の個体がこの亜種です。
翅全体が青い金属光沢、ピンクではなく赤やオレンジ色など様々な模様・色のパターンがあるため、同定が難しい蝶です。


まとめ
クリムゾンという色は若干青みを含んで紫がかる、濃く明るい赤色です。
色相環上ではマゼンタと赤の中間に位置します。

