キベリタテハ
学名:Nymphalis antiopa
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:3 – 4cm前後
- 時期:4 - 9月
- 分布:ユーラシア大陸・北アメリカ
生態
1年で1回発生する一化性です。
生息域
ユーラシア大陸、北アメリカなどの主に北半球の温帯・寒帯に広く分布しています。
日本では北海道・本州に生息しています。日本では中部地方から北海道までの涼しい地域に分布しています。
広葉樹林、山地、高山草原に生息しています。
成虫
キベリタテハは日中に活動し、樹液や腐った果物、獣糞から汁を吸います。花には訪れません。 また、水を吸水することがあります。
時々木の幹や枝、地面に止まり日光浴をします。
キベリタテハは成虫のまま越冬します。越冬する場所は木の空洞や雪で覆われた樹皮などに止まり、春を待ちます。
寿命は11~12か月でチョウの中で最も長い寿命の1つといわれています。
翅を開張すると6 – 7cm前後になる、中型のチョウです。
幼虫
成熟した幼虫の体色は黒色で、背面に8つの赤みがかったオレンジ色の大きな斑点があります。この斑点に黒い線が通っています。
体中に小さな白い斑点が散りばめられていて、節ごとに枝分かれした黒い棘が生えています。
疣足はオレンジ色で、頭部は黒色です。
食草はヤナギなどのヤナギ科、アメリカニレなどのニレ科、シラカンバなどカバノキ科の葉を食べます。
成虫の見た目
キベリタテハは翅の黄白色の太い縁が特徴的です。
翅の表側は赤褐色で少し光沢があります。前翅後翅ともに黄白色の太い縁があります。この縁の内側には水色の斑点が点々と並んでいます。
この模様は本種特有のもので、他に類似している種がいないので、区別しやすいチョウです。
キベリタテハの翅の裏側は表側と大きく異なります。
翅の裏側は灰色または黒色で、樹皮のような縞模様になっています。しかし、表側と同様に黄白色の太い縁があります。
翅の裏側の模様は樹皮に似ていています。キベリタテハが木に止まると翅を閉じて、木の樹皮にカモフラージュします。
オスメスともに見た目に大きな違いはありません。
キベリタテハの名前
キベリタテハは北半球の温帯・寒帯に広く分布しているチョウです。そのため国ごとに名前があります。
英名
北アメリカでは「mourning cloak」(喪のマント)といわれています。
「mourning」とは特に死による悲嘆、哀悼、喪、喪中、追悼、喪服、喪章のことを示す言葉です。
また「cloak」(クローク)は袖のないコートやマントを示す言葉です。
チョウは世界各地で人の死や霊に関連する概念があります。
キベリタテハは翅の裏側の色が灰色または黒色なので喪服に結び付けられていると考えられます。 また、黄白色の太い縁が袖のない部分に見えたのでしょう。
2001年にアメリカのモンタナ州の州のチョウに採用されました。
イギリス名
イギリスでは「Camberwell beauty」(キャンバーウェルビューティー)と呼ばれています。
これはロンドン南部にある地域「Camberwell」の場所で最初に発見されたことに由来します。
二人の学者が最初にキベリタテハを発見したときに驚きとその美しさから「beauty」と名を付けました。
これを続けて読むと「Camberwell beauty」(キャンバーウェルビューティー)になります。
まとめ
タテハチョウ属は寿命が長く、翅の裏側が樹皮に似ているのが特徴です。