トラフアゲハのオスは上記の見た目で固定されていますが、メスにはオスと同じで擬態していない黄色型とアオジャコウアゲハに擬態した黒色型がいます。
擬態のモデルになっているアオジャコウアゲハ(学名:Battus philenor)は北米に生息する、ジャコウアゲハの仲間です。アオジャコウアゲハは、日本のジャコウアゲハと同じようにウマノスズクサを食草としていて、体内に毒を蓄えています。
毒を持つ生物で警戒色によって周囲に危険を知らせるものがいますが、それらの生物とは違う種が同じ警戒色を用いて、捕食されないようにする擬態をベイツ型擬態といいます。
トラフアゲハの黒色型のメスの分布は、アオジャコウアゲハの分布とほぼ一致しているため、擬態としての機能を果たしています。
アオジャコウアゲハの分布から外れた地域ではトラフアゲハのメスはオスと同じで擬態していない黄色型が見つかるそうです。
一部の種類で擬態をしている型と擬態をしていない型の両方が存在する種類を多形型 (polymorphic)といいます。