ベニタテハモドキ
学名:Precis octavia
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:3 – 4cm前後
- 時期:一年中
- 分布:サブサハラアフリカ
生態
1年で数回発生を繰り返す多化性です。
生息域
ギニア、ブルキナファソ、シエラレオネ、ガーナ、トーゴ、ベナン、ナイジェリア、カメルーン、ガボン、コンゴなどの主にサブサハラアフリカに生息しています。
サブサハラアフリカとはアフリカのサハラ砂漠より南の地域です。別名でサハラ以南のアフリカともいいます。
アフリカには乾季と雨季の二つの季節があります。
乾季は3月から9月で雨季は10月から3月です。地域によって乾季や雨季の期間が異なります。
南半球では日本とは季節も逆で、乾季の時期は冬、雨季の時期は夏です。
サバンナ、森林、植物園、草原に生息しています。
成虫
ベニタテハモドキは日中に活動し、多種多様な花から吸蜜します。花の咲いた草原で多く見られるようです。
地面または葉の上に止まり、翅を完全に広げて日光浴をします。
乾季、雨季によって生態が異なるチョウです。
乾季の形態は雨季の形態よりも活発に飛行する傾向がなく、日陰などの隠れられる場所でしばしば止まっています。森林地帯を好む傾向があります。
雨季の形態は活発に飛行し特定の地帯を好まず、様々な場所を移動しています。寒い気候では穴や岩の下で冬眠します。
翅を開張すると5 – 7cm前後になる、中型のチョウです。
幼虫
成熟した幼虫の体色は個体差があり、明るいオレンジ色と完全に黒色の個体がいます。
オレンジ色の個体には黒い帯模様があります。共通で節ごとに枝分かれした黒い棘があります。また、頭部には二対の黒い角があります。
乾季では完全に黒い個体が、雨季では明るいオレンジ色の個体が生まれる傾向があるようです。
食草はハーブなどのシソ科の葉を食べます。
成虫の見た目
ベニタテハモドキは季節と亜種によって翅の模様と色が大きく異なるのが特徴的です。
今回紹介するのは北部の亜種「Precis octavia octavia」の乾季の形態です。
翅の表側は青紫色で、黒の帯模様があります。また、両翅を横断するような赤い帯模様があります。前翅の上部の縁には小さな白い斑点があります。 後翅には小さな白い斑点はありません。
翅の裏側は表側と大きく異なります。
翅の裏側は紫がかった茶色です。表側の模様をそのまま紫がかった茶色に置き換えたような見た目です。
オスメスで見た目に大きな違いはありません。
ベニタテハモドキの形態の多様性
上記で北部の亜種「Precis octavia octavia」の乾季の形態を紹介しました。
それでは雨季の形態はどんな姿かといいますと、乾季と雨季では全く別の種に見えるほど見た目が違います。
北部の亜種「Precis octavia octavia」
北部の亜種「Precis octavia octavia」の雨季の形態では翅の表側はオレンジ色で縁が黒色なのが特徴です。
画像が用意できませんでしたが、雰囲気としては翅を丸くしたヒオドシチョウに似ています。
南部の亜種「Precis octavia sesamus」
南部の亜種も乾季と雨季では全く別の種に見えるほど見た目が違います。
南部の亜種「Precis octavia sesamus」の乾季の形態では翅の表側は明るい青色で黒と赤の帯模様が特徴的です。
南部の亜種「Precis octavia sesamus」の雨季の形態では翅の表側は明るい赤色で縁が黒色が特徴的です。「form natalensis」と呼ばれています。
乾季と雨季の個体で交尾することがあります。
自然では乾季と雨季の中間の模様の個体は珍しいようですが、飼育下では気温などの条件、環境によって両方の翅の模様の個体を人工的に作成することが出来るようです。
季節によって色と模様が大きく異なるので最初は異なる種として見られていたようです。
まとめ
アフリカタテハモドキ属のチョウは季節によって見た目が大きく異なるチョウたちです。