カテゴリー: ヤママユガ科

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セクロピアサン

セクロピアサン

学名:Hyalophora cecropia

今回は北米で最大の蛾、セクロピアサンについて紹介していきます
シロヒトリ

分類

セクロピアサンはヤママユガ科に属しており、ヒアロフォラ属(Hyalophora)に分けられています。

ヤママユガ科はオオクジャクヤママユモモイロヤママユなど多数存在します。

生態

1年に1回発生する一化性です。

生息域

カナダ南部、アメリカ合衆国ではノバスコシア州とメイン州南部からフロリダまでの範囲に生息しています。また、ロッキー山脈でも確認されています。

主にカナダアメリカ合衆国北東部に生息しています。

森林、公園、都市、郊外などに生息しています。

主にカナダ・アメリカ北東部に生息しているガなんだね
イモチャン
北米で最も壮観なガといわれています
シロヒトリ

成虫

セクロピアサンは口吻自体が退化して摂食せず、幼虫時代に蓄積された栄養だけで活動します。

夜間に活動し、寿命が尽きる前に番(つがい)を探します。また、光に惹かれる性質があります。

メスは揮発性の性フェロモンを放出し、オスは飛んで、大きな触角を介してこれを検出します。 オスはフェロモンを数メートルの距離で検出し、フェロモンが来ている方向に飛んでメスに到達することができます。オスがメスに到達すれば交尾が始まります。

交尾は早朝に始まり、夕方まで続きます。また、メスは宿主植物や低木の葉の両側に2〜6個の卵を並べます。卵は10~14日で孵化します。

翅を開張すると13 – 18cm前後になる、北米の在来種で最大の蛾です。

寿命は約2週間です
シロヒトリ

幼虫

成熟した幼虫の体色は明るい青みがかった緑色で、背面や側面のカラフルな突起が特徴です。背面には頭部から順に赤、黄色の突起があります。側面には水色の突起があります。

突起の先端には黒い棘があります。この黒い棘は成長していくと、だんだん小さくなっていきます。

疣足は黄色で、頭部は体色と同じ明るい青みがかった緑色です。

幼虫は最大で11cm前後になります。  

食草は広食性で多種多様の植物を食べます。主にカエデ、ブナ、マメ、モクセイ、マツ、ツツジ、バラなどを食べます。

若い幼虫は黒色だよ!
イモチャン

成虫の見た目

交尾中のセクロピアサン

セクロピアサンは茶色の翅と赤い三日月模様が特徴です。

基本的に全体は茶色で構成されています。前翅の中央付近は赤色で、白と赤の帯模様があります。縁は白色で前翅には眼状紋があります。

翅に一つずつ赤い三日月模様があります。三日月模様は中心から白、赤、黒になっています。

胴体は赤色で首の部分は白色です。脚は赤色で、腹部は赤と白の縞模様になっています。

触角は黒色です。

オスメスともに見た目に大きな違いはありません

シックでおしゃれなガだね!
イモチャン
メスの方が体が大きい傾向があるようです
シロヒトリ

セクロピアサンの抗生物質

セクロピアサンはセクロピンという物質を体内で作っています。これは人間が風を引いたときに使う抗生物質と同じ役割を持っています。

セクロピンは次のような特性をもっています。

セクロピアサンは、自分自身で抗生物質をつくっているので、もちろん薬の副作用の心配もない。必要に応じてセクロピンを作り出し、自分の体を病原菌から守る。

セクロピアサンは細菌の攻撃を受けると、細菌の細胞膜を破壊し、細菌が体内で増え続けることを防ぐ。細胞膜そのものを破壊するので、何度も抗生物質を使うことで菌が強くなって(耐性を持つと言います)、薬が効きにくくなることもない。

さらにセクロピンは、ケガをしたときにも早く治るような働きをもっている。

引用元:ネイチャーテクノロジーデータベース「セクロピアサンは細菌に感染しても平気」

また、セクロピンは非常に多くの細菌に対して効果のある物質であることが分かっています。

このような生物が進化的に保存した自然免疫反応のことを、抗微生物ペプチドといいます。

抗微生物ペプチドは新規治療薬として非常に有力な候補とされています。

すごい抗生物質を持っているんだね!
イモチャン
セクロピンを人工的に合成することに成功しています
シロヒトリ

まとめ

セクロピアサンはセクロピンの実験のほかに、その見た目と体の大きさからコレクターに人気の蛾です。

そのため、卵や蛹が販売されています。 

赤の三日月模様と茶色の翅がおしゃれな蛾です
シロヒトリ
次回はキョウチクトウスズメについて紹介するよ!
イモチャン

オオクジャクヤママユ

オオクジャクヤママユ

学名:Saturnia pyri

今回は中央ヨーロッパ最大の蛾、オオクジャクヤママユについて紹介していきます
シロヒトリ

分類

オオクジャクヤママユはヤママユガに属しており、クスサン属に分けられています。

ヤママユガ科はイーグルス・インペリアリスアメリカオオミズアオなど多数存在します。

生態

1年に1回発生する一化性です。

生息域

フランスのパリから南西スイス、イベリア半島、モロッコとアルジェリアの沿岸地域まで、南は北アフリカ、西はイランまで、中央ヨーロッパと中近東の暖かい地域に生息しています。

主に中央ヨーロッパ・北アフリカに生息しています。 

森林、公園、果樹園などに生息しています。

主に中央ヨーロッパ・北アフリカに生息しているガなんだね
イモチャン
標高約0~2000mに生息しています
シロヒトリ

成虫

オオクジャクヤママユは口吻自体が退化して摂食せず、幼虫時代に蓄積された栄養だけで活動します。

夜間に活動し、寿命が尽きる前に番(つがい)を探します。光に惹かれる性質があります。

メスは夜に揮発性の性フェロモンを放出し、オスは飛んで、大きな触角を介してこれを検出します。 オスはフェロモンを数メートルの距離で検出し、フェロモンが来ている方向に飛んでメスに到達することができます。オスがメスに到達すれば交尾が始まります。

交尾は約22時間続きます。交尾後メスによって、約30個の卵が木の枝または幹に5 – 8個繋がって置かれます。残りの卵は宿主植物の葉と小枝の上に置かれます。

 

翅を開張すると15 – 20cm前後になる、大型の蛾です。これは中央ヨーロッパ最大の蛾になります。

体が大きいため、飛んでいる姿がコウモリに間違えられることがあります。

卵は通常14~30日後に孵化します
シロヒトリ

幼虫

オオクジャクヤママユの幼虫

成熟した幼虫の体色は明るい緑色で、細長い毛が節ごとに生えています。毛が生えている根本は水色です。気孔は白で黒色で縁取られています。体の側面の下側に白いラインが走っています。

頭部は褐色で、危険を感じると下顎を急速に振動させて鳴くことができます。

体長は12cm前後になります。

食草は広食性で多種多様な植物を食べます。主にクルミ、リンゴ、プラム、アーモンド、ニレ、ヤナギなどを食べます。

果樹園では殺虫スプレーによって、駆除されています。

パステルカラーな幼虫だよ!
イモチャン

成虫の見た目

オオクジャクヤママユ

オオクジャクヤママユは白茶色の翅と眼状紋が特徴です。

基本的に全体は白茶色で構成されています。各翅には眼状紋が1つずつあります。 翅に濃い茶色と白の波模様があります。縁は白色で、外側に向かって薄い茶色になります。

また、茶色の部分に赤色が混じる個体がいます。

胴体は茶色で白の縞模様があります。

オオクジャクヤママユには性的二系があります。メスの触覚はシンプルな形をしていますが、オスの触角は櫛歯状になっています。しかし、オスメスで翅の模様に大きな違いはありません。

ふわふわの翅に眼状紋のインパクトがすごいね!
イモチャン
英名では「great peacock moth」(大きな孔雀蛾)と呼ばれています
シロヒトリ

オオクジャクヤママユの名前

オオクジャクヤママユは「giant emperor moth」(巨大な皇帝蛾)や「Viennese emperor」(ウィーンの皇帝)とも呼ばれます。

「Viennese」(ウィーン)とは中央ヨーロッパの国、オーストリアの首都です。ウィーン市の西部にはアルプス山脈の一部であるウィーンの森があります。

ウィーンの夏は適度な暑さで平均気温は22-26℃で、最高気温は30℃を超えることもあり最低気温は15℃位です。

また、ヤママユガ科などの大きな蛾は「emperor」(皇帝)の名が付きやすい傾向があります。

オオクジャクヤママユに適した環境と生息地、その体の大きさからこのような名前が付けられたと考えられます。

「emperor」って名前の響きも意味もかっこいいよね
イモチャン
和名は孔雀の翅のような眼状紋からクジャクの名前が付いています
シロヒトリ

まとめ

個人的に幼虫と成虫の見た目のギャップが激しいガだと思います。

茶色の波模様の翅が好きです
シロヒトリ
次回はオスジロアゲハについて紹介するよ!
イモチャン

イーグルス・インペリアリス

イーグルス・インぺリアリス

学名:Eacles imperialis

今回は皇帝蛾、イーグルス・インペリアリスについて紹介していきます
シロヒトリ

分類

イーグルス・インペリアリスはヤママユガに属しており、「Ceratocampinae」亜科に分けられています。

「Ceratocampinae」亜科の「Eacles」属に分けられています。

ヤママユガ科はモモイロヤママユオオオナガヤママユなど多数存在します。

※本種は和名が名づけられていません。本記事では学名を和訳した通称で紹介していきます。

生態

1年に1回発生する一化性です

生息域

カナダ南部から、アメリカ合衆国ではニューイングランドと南部のフロリダキーまで、そして西はネブラスカまで記録されています。 

主にカナダ南部、アメリカ東部に生息しています。

成虫は北部では6 – 8月に出現しますが、南部では4 – 10月に出現する傾向があります。

森林、原生林、落葉樹林、郊外などに生息しています。

主にカナダ南部・アメリカ東部に生息しているガなんだね
イモチャン
アメリカ西部には生息していません
シロヒトリ

成虫

イーグルス・インペリアリスは口吻自体が退化して摂食せず、幼虫時代に蓄積された栄養だけで活動します。

夜間に活動し、寿命が尽きる前に番(つがい)を探します。 成虫は日の出前に現れ、翌日の真夜中以降に交尾します。

また、メスは夕暮れに単独で、宿主植物の葉の両面に2 – 5匹ずつ産卵します。卵はおよそ10日から2週間で孵化します。

翅を開張すると8 – 17cm前後になる、中~大型の蛾です。

卵は黄色で楕円形です
シロヒトリ

幼虫

成熟した幼虫の体色は個体差があり、こげ茶色、または緑色です。気孔周りの模様はこげ茶色の個体は白色で、緑色の個体は黄色です。

背面の頭部付近に4本の角が生えています。頭部はこげ茶色の個体はオレンジ、緑色の個体は黄色です。

体長は7 – 10cm前後になります。

食草は広食性で多種多様な広葉樹を食べます。主に松、コナラ、カエデ、モミジバフウ、ユーカリなどを食べます。

体中細かい毛で覆われている毛虫だよ!
イモチャン

成虫の見た目

イーグルス・インペリアリス
正面

イーグルス・インペリアリスは黄色の翅と変動しやすい模様が特徴です。

基本的に全体は黄色で構成されています。翅の中央に茶色の丸い斑点があります。後翅も同じ模様があります。これはどの個体も同じ特徴です。

この画像の個体は前翅の内側は茶色で縁に茶色が少し混ざります。後翅は黄色が多く、茶色の波模様があります。

茶色が多い暗い個体、黄色が多い明るい個体、赤や紫が混じるなど翅の模様は個体によって大きく異なります

色が明るい個体と色が暗い個体は、北部と南部の両方の地域で見られます。生息地の北部地域の成虫は、色が暗い個体が少ない傾向があります。

黄色と茶色のシックな模様がおしゃれだね!
イモチャン
英名では「imperial moth」(皇帝蛾)と呼ばれています
シロヒトリ

イーグルス・インペリアリスの性的二系

イーグルス・インペリアリスには性的二系があります。リストにすると次のようになります。

オス

  1. 茶色、赤、紫の模様が多い
  2. オスの触角は櫛歯状になっている
  3. 腹部の腹側に紫色の斑点がある

メス

  1. 模様は黄色の部分が多い
  2. メスの触覚はシンプルな形をしている
  3. 全体的に体がオスより大きい

上記の画像の個体は触角が櫛歯状になっている、茶色の部分が多いことからオスだと思います。

メスの方が大きいんだね
イモチャン
メスには卵巣があることから、腹部が大きくなる傾向があります
シロヒトリ

まとめ

Eacles」(ワシ属)はアメリカ原産の蛾で現在約24種類が確認されています。

中には木の葉に似た模様をしている種類もいます。

渋い色合いがいいですね
シロヒトリ
次回はノンネマイマイについて紹介するよ!
イモチャン

モモイロヤママユ

モモイロヤママユ

学名:Dryocampa rubicunda

今回はヤママユガ科最小の蛾、モモイロヤママユについて紹介していきます
シロヒトリ

分類

モモイロヤママユはヤママユガに属しており、ヤママユガ科のドライカンパ(Dryocampa)属に分けられています。

ヤママユガ科はヨナグニサンシンジュサンなど多数存在します。

生態

地域によって発生数が異なります。カナダ、アメリカ北部では1年に1回発生する一化性です。

アメリカ東部では1年に2 – 3回発生する多化性です。

生息域

カナダではオンタリオ、ケベック、ニューブランズウィック、ノバスコシア、プリンスエドワード島を含む、カナダ南部に生息しています。

アメリカ合衆国ではノバスコシア州西部、ケベック州からオンタリオ州、ミネソタ州まで生息しています。南はフロリダ州、東はテキサス州までです。

主にカナダ、アメリカ東部に生息しています。

森林、原生林、落葉樹林などに生息しています。

主にカナダ・アメリカ東部に生息しているガなんだね
イモチャン
アメリカ西部には生息していません
シロヒトリ

成虫

モモイロヤママユは口吻自体が退化して摂食せず、幼虫時代に蓄積された栄養だけで活動します。

モモイロヤママユは夜間に活動し、寿命が尽きる前に番(つがい)を探します。

メスは夜に揮発性の性フェロモンを放出し、オスは飛んで、大きな触角を介してこれを検出します。 オスはフェロモンを数メートルの距離で検出し、フェロモンが来ている方向に飛んでメスに到達することができます。オスがメスに到達すれば交尾が始まります。

メスは交尾の24時間後に産卵します。また、メスは10~30羽のグループで黄色の卵形の卵を宿主植物であるカエデの葉の裏側に産みます。

翅を開張すると3 – 5cm前後と非常に小さく、胴体も含めると人間の親指より小さいサイズです。

ヤママユガ科最小のガです
シロヒトリ

幼虫

成熟した幼虫は黄緑色で黒と白の縞模様をしています。また節ごとに黒い小さな棘が並んでいます。頭部付近の棘は大きめです。

頭部はこげ茶色です。腹と疣足はピンク色です。

食草はアメリカハナノキ(赤いカエデ)、サトウカエデ、シルバーカエデ、トネリコバノカエデなど、主にカエデ属の植物を食べます。

幼虫は葉身全体を食べるため、幼虫のグループは木を落葉させることがあります。幸い、葉は元に戻るため、基本的に無害です。

カエデのほかにオークも食べるよ!
イモチャン

成虫の見た目

モモイロヤママユ

モモイロヤママユはピンクと黄色の翅とふんわりとした体が特徴です。

基本的にピンク色と黄色で構成されていますが。色の配色が個体によって、クリーム色や白色になるなど、大きく異なる場合があります

中央に三角形の黄色い帯模様のあるピンク色の前翅を持っています。後翅もほとんど同じ模様です。

翅の模様は個体によって大きく異なります。たとえば、ピンク色がほとんどの翅を覆うものから完全になくなるものまでさまざまなパターンがあります。

脚と触角は赤みがかったピンク色で、胴体は黄色です。

モモイロヤママユには性的二系があります。メスの触覚はシンプルな形をしていますが、オスの触角は櫛歯状になっています。また、オスの羽は丸みがありません。

鮮やかなピンク色とふわふわの体がかわいいね!
イモチャン
英名では「Rosy maple moth」(バラ色のメープル蛾)と呼ばれています
シロヒトリ

鮮やかなピンク色

モモイロヤママユは鮮やかな色の翅を持っていることから、毒があるように見えますが、毒はありません

警告色と思える鮮やかな色を持つことで、捕食者をだまして有毒で美味しくないと思わせる防御メカニズムとして役立っているのではないかと考えられています。

 

また、モモイロヤママユの寿命は約2〜9か月間といわれていますが、この時間の多くは冬の間、蛹として費やされます。

目立つ色だけど毒はないんだね
イモチャン
鳥が主な捕食者です
シロヒトリ

まとめ

モモイロヤママユは「great silk moth」(偉大なシルク蛾)ともいわれています。

 

その色と小ささが相まって非常にかわいらしいガです
シロヒトリ
次回はガンソアマヒトリについて紹介するよ!
イモチャン

アメリカオオミズアオ

アメリカオオミズアオ

学名:Actias luna

]今回はアメリカの月蛾、アメリカオオミズアオについて紹介していきます
シロヒトリ

分類

アメリカオオミズアオはヤママユガに属しており、ヤママユガ科のアクティアス属に分けられています。

ヤママユガ科はオオミズアオオオオナガヤママユなど多数存在します。

生態

地域によって発生数が異なります。カナダ、アメリカ北部では1年に1回発生する一化性です。

アメリカ中央部、南部では1年に2 – 3回発生する多化性です。

生息域

アメリカ合衆国のグレートプレーンズの東からフロリダ、メイン州まで、そしてサスカチュワン州の東からケベック中心部を通ってカナダのノバスコシアまでの主にカナダ、アメリカ東部に生息しています。

カナダ、アメリカ北部では成虫は5 – 7月、アメリカ南部では4 – 9月に見られます

森林、原生林などに生息しています。

主にカナダ、アメリカ東部に生息しているガなんだね
イモチャン
アメリカ西部には生息していません
シロヒトリ

成虫

アメリカオオミズアオは口吻自体が退化して摂食せず、幼虫時代に蓄積された栄養だけで活動します。そのため、寿命は7~10日と短いです。

アメリカオオミズアオは夜間に活動し、寿命が尽きる前に番(つがい)を探します。 また、光に惹かれる性質があります。

メスは夜に揮発性の性フェロモンを放出し、オスは飛んで、大きな触角を介してこれを検出します。

オスはフェロモンを数メートルの距離で検出し、フェロモンが来ている方向に飛んでメスに到達することができます。オスがメスに到達すれば交尾が始まります。この交尾の過程は真夜中に始まり、数時間かかります。

翅を開張すると8 – 12cm前後になりますが、まれに最大で17cmにもなる大型の蛾です。

北米で最も大きな蛾の1つです
シロヒトリ

幼虫

成熟した幼虫は明るい緑色です。節ごとに黄色の縦模様と体の下側に黄色のラインが走っています。また節ごとに黒い小さな斑点が並んでいて、背面と側面にはその斑点から毛が生えています。

頭部は茶色です。体長は7 – 9cmになります。

食草は広食性で多種多様な広葉樹を食べます。主にシラカバ、柿、スイートガム、ヒッコリー、クルミ、スマックなどを食べます。

蛹のまま9か月過ごすよ!
イモチャン

成虫の見た目

アメリカオオミズアオ

アメリカオオミズアオは翡翠のような淡い緑色の翅と眼状紋が特徴です。

翅の地色は淡い緑色で、前翅後翅ともに眼状紋があります。前翅の先端が鎌状に曲がっていて、縁の部分は茶色または紫がかった茶色です。

眼状紋は白、赤紫、黄色、黒で構成されています。

前翅の眼状紋が茶色の縁と繋がっているのが特徴です。しかし、眼状紋が縁と繋がっていない個体もいます。

後翅は尾状突起が長く、捻じれている個体もいます。

胴体は白色または淡い黄色で触角は櫛歯状になっています。北部の個体は淡い黄色になる個体が多いそうです。

きれいな緑色の翅だね!
イモチャン
英名では「Luna moth」(月蛾)と呼ばれています
シロヒトリ

アメリカオオミズアオと日本のオオミズアオ

アメリカオオミズアオと日本産のオオミズアオ(学名:Actias aliena)は同じアクティアス属Actias)の仲間です。違いは次のようになります。

アメリカオオミズアオ

アメリカオオミズアオ

前翅の眼状紋が茶色の縁と繋がっているのが特徴です。しかし、眼状紋が縁と繋がっていない個体もいます。

後翅は尾状突起が長く、捻じれている個体もいます。また、後翅の眼状紋を隠すかのように前翅を立てて止まる事があります。

オオミズアオ

オオミズアオ

オオミズアオはアメリカオオミズアオと比べると尾状突起は短く、翅の色も全体的に薄めです。また、眼状紋が小さく縁と繋がっていないのが特徴です。

翅を広げて平たく止まります。

こうして見ると異なる部分が多いね
イモチャン
アクティアス属は現在、約30種類以上が確認されています
シロヒトリ

まとめ

アメリカオオミズアオの幼虫は鋸歯状の下顎を一緒にこすって、捕食者に攻撃されると、カチカチという音を立てることが出来ます。

翡翠のような翅が美しいです
シロヒトリ
次回はモモイロヤママユについて紹介するよ!
イモチャン

オオオナガヤママユ

オオオナガヤママユ

学名:Argema mittrei

今回は彗星と称される蛾、オオオナガヤママユについて紹介していきます
シロヒトリ

分類

オオオナガヤママユはヤママユガ科に属しており、その中のArgema(アルジェマ)属に分けられています。

ヤママユガ科はシンジュサンヨナグニサンなど多数存在します。

生態

1年に何回発生するかは不明です。

生息域

マダガスカル島にのみ生息しています。 マダガスカル島の固有種です。

近年は生息地の破壊により野生では絶滅が危惧されています。しかし、飼育下で繁殖されています。

熱帯雨林に生息しています。

マダガスカルに生息しているガなんだね
イモチャン
別名「マダガスカルオナガヤママユ」といいます
シロヒトリ

成虫

オオオナガヤママユは世界で最も美しく、大きな蛾と呼ばれてます。

その大きさは翅を開張すると20cmになります。

また、尾状突起が15cmを越えます。尾状突起も加えると、30cm以上にもなる巨大な蛾です。そのため、世界最大のシルク蛾といわれています。

オオオナガヤママユは口吻自体が退化して摂食せず、幼虫時代に蓄積された栄養だけで活動する。そのため、寿命は4 – 5日と短い。

メスは120~170個の卵を産みます
シロヒトリ

幼虫

成熟した幼虫は体色が緑色で、全体的に角ばった姿が特徴的です。 節ごとに黄色の縦線が走っています。

頭部は茶色です。

食草はコミカンソウフトモモ科ウルシ科の植物を食べます。 

幼虫は成長すると約7cmぐらいになるよ!
イモチャン

成虫の見た目

オオオナガヤママユ

オオオナガヤママユは黄色または黄緑色の翅と尾状突起が美しい蛾です。

翅の地色は黄色または黄緑色で、前翅後翅ともに大きな目玉模様があります。目玉模様は中心から黒、黄色、青、赤、黒の順番で複雑な構造をしています。 

前翅の先端が鎌状に曲がっていて、褐色です。翅の縁は前翅後翅ともに黒色です。

尾状突起は褐色で先端部分は黄色です。体は黄色で触角は櫛歯状になっています。

また、オオオナガヤママユの右にある白い物体はで雨水などで、水が溜まらないように点々と穴が開いています。

黄色と緑のグラデーションがきれいだね!
イモチャン
背景とオオオナガヤママユが相まって幻想的な雰囲気です
シロヒトリ

マダガスカルとオオオナガヤママユ

オオオナガヤママユはマダガスカルの国立公園「Andasibe-Mantadia National Park」(アンダジブ – マンタディア国立公園)で捕獲され、繁殖に成功したようです。そのため、アンダジブ – マンタディア国立公園では姿が見られます。

また、オオオナガヤママユはマダガスカルの通貨「アリアリ」(記号:Ar)の旧1000アリアリ紙幣に載っていました。

マダガスカル島は孤立した状態が長く保たれたため、島内の生態系を構成する各生物種が独特の進化を遂げ、ユニークな生態系を築いています。

また、現在でも野生生物種の90%以上が固有種という、マダガスカル島は生物多様性にとって重要な場所です。

紙幣にも載っていたんだね
イモチャン
その美しさと独特な見た目が印象的だったのでしょう
シロヒトリ

まとめ

オオオナガヤママユの英名は「comet moth」(彗星蛾)と「Madagascan moon moth」(マダガスカル月蛾)と呼ばれています。

彗星蛾という名が神秘的でいいです
シロヒトリ
次回はタスキアゲハについて紹介するよ!
イモチャン

シンジュサン

シンジュサン

学名:Samia cynthia pryeri

今回は翅に三日月を持つ蛾、シンジュサンについて紹介していきます
シロヒトリ

分類

シンジュサンはヤママユガ科に属しており、その中のシンジュサン属に分けられています。

ヤママユガ科はオオミズアオヨナグニサンなど多数存在します

生態

時期は5 – 9月と年に2回発生する多化性です。

生息域

日本では北海道・本州・四国・九州・沖縄・南西諸島など全国的に生息しています。

中国、朝鮮半島、日本にかけて分布し、いくつかの亜種に分けられています。

森林と郊外などで見られます。

アジアで見られる蛾なんだね
イモチャン
日本では一般的な蛾です
シロヒトリ

成虫

シンジュサンは大型の蛾で、翅を開帳すると11 – 14cmになります。

シンジュサンは夜に活動し、光に惹かれます。口吻自体が退化して摂食せず、幼虫時代に蓄積された栄養だけで活動します。

日本では古くから「ミツキムシ」と呼ばれていました。名称のシンジュとは「神樹」と書き、これはニガキ科の落葉高木、ニワウルシの別名です。

シンジュは明治時代に初めて輸入されたため、「シンジュサン」は比較的新しい呼び方です。

神聖な感じがする名前だね
イモチャン
シンジュサンを漢字で書くと「神樹蚕」となります
シロヒトリ

幼虫

幼虫の体色は白っぽい緑色で頭部と尾部は黄色です。節ごとに小さな黒い斑点と水色の突起が出ています。

幼虫は成長すると約6cmになります。

食草はニワウルシ(シンジュ)・柑橘類・ニガキ・ヌルデ・クヌギ・フカノキなど広食性です。

パステルカラーのような淡い色彩が特徴的だよ!
イモチャン

成虫の見た目

シンジュサン

翅の地色は褐色で内側の線は白色です。

前翅の先端が鎌状に曲がっていて目玉模様があります。触角は櫛歯状をしています。

全ての翅に1つずつ三日月の模様があるのが特徴的です。

三日月の模様がきれいだね
イモチャン
ミツキムシの呼び名はこの三日月の模様からでしょう
シロヒトリ

エリ蚕

シンジュサンはカイコ(蚕)を飼ってその繭から生糸(絹)を作る産業である、養蚕業に使用されている蛾です。エリ蚕(ヒマサ蚕)と呼ばれています。

インドとタイにはトウゴマの葉を食べる亜種、エリサン[S. cynthia ricini]がおり、「エリ・シルク」の生産で知られてます。

このエリサンとシンジュサンの交配種から絹糸が生産されています。

 

エリ蚕は野蚕です。野蚕とは絹糸を生成する野生の昆虫のうち人間が利用してきたものの総称です。野蚕からとった絹糸を「ワイルドシルク」と呼びます。

主な産地はインド北部・タイ・ベトナム・中国南部です。繭の色は白色または赤茶色をしています。絹は非常に耐久性がありますが、簡単に巻き取ることができないため、綿や羊毛のように紡がれます。

主にマフラー、綿との混紡用品に利用されます。

人の生活にすごい関わっている蛾なんだね
イモチャン
野蚕の他には天蚕(テンサン)・柞蚕(サクサン)などがあります
シロヒトリ

まとめ

小学生のころに道端でシンジュサンが地面で休んでいるのを見たのが最初の出会いでした。最初は鳥かと思ったんですが、よく見ると大きい蛾でだいぶ衝撃的でした。私が近づくとバタバタと羽ばたいて飛んで行ってしまいました。

今になって改めて調べると上記のような生態や人との関わりを知って、実際に見ることが出来て良かったなと思いました。

野蚕は日本野蚕学会が活動しているほか、東京・深川にワイルドシルクミュージアムという私設博物館があるなど多くの人々から重宝されている産業です。

飛んでいる姿は非常にインパクトがありました
シロヒトリ
次回はカギシロスジアオジャクについて紹介するよ!
イモチャン

ヨナグニサン

ヨナグニサン

学名:Attacus atlas ryukyuensis

今回は与那国島の巨大蛾、ヨナグニサンについて紹介していきます
シロヒトリ

分類

ヨナグニサンはヤママユガ科に属しており、その中のヨナグニサン属に分けられています。

ヤママユガ科はオオミズアオシンジュサンなど多数存在します。

生態

春・夏・秋と年に3回発生する多化性です。

生息域

日本では沖縄県八重山諸島(石垣島・西表島及び与那国島)にのみ分布します。与那国島で初めて発見されたことから「ヨナグニサンという和名が付けられました。

また、沖縄県指定天然記念物と指定されていて、採取することは禁じられています

インドから東南アジア、中国、台湾、日本にかけて広く分布し、いくつかの亜種に分けられていて、日本が分布の北限にあたります。

森林と熱帯林に生息しています。

東南アジアの熱帯地域に生息しているんだね
イモチャン
ヨナグニサンを漢字で書くと「与那国蚕」となります
シロヒトリ

成虫

ヨナグニサンは日本最大の蛾です。その大きさは24 – 27cmにもなります。

昆虫の中で翅の面積が最大の蛾と言われていましたが、近年の研究によりニューギニアやオーストラリア北部に分布する蛾、ヘラクレスサンに次ぐ2位の大きさであることがわかりました。

また、世界最大のチョウであるアレクサンドラトリバネアゲハよりは小さいそうです

フィリピン産のカエサルサン、ニューギニアやオーストラリア北部のヘラクレスサンはヨナグニサンよりはるかに大型の別種です

ヨナグニサンは夜に活動し、光に惹かれます。口吻自体が退化して摂食せず、幼虫時代に蓄積された栄養だけで活動する。そのため、寿命は約1週間と短い。

鳥並みの大きさだね
イモチャン
手のひらに収まらないサイズです
シロヒトリ

幼虫

ヨナグニサンの幼虫

幼虫の体色は緑色で白の埃っぽい毛が生えています。白の埃っぽい毛は成長するとより顕著に表れます。節ごとに緑の突起が出ています。

幼虫は成長すると約11cmになります。

食草は柑橘類・アカギ・カンコノキ類・モクタチバナ・トベラ・フカノキなど広食性です。  

尾部のオレンジ色の輪が特徴的だよ!
イモチャン

成虫の見た目

ヨナグニサン
蛇の頭のような模様

翅の地色は赤褐色で前翅の縁は黒色で内側の線は白色です。前翅の先端が鎌状に曲がっていて模様が蛇の頭のように見えます。

黒で縁取られた三角形の鱗分がない部分が特徴的です。

様々な色合いと模様が芸術品のように見えます。

拡大してみると本当に蛇の頭に見えるね
イモチャン
この模様は相手に見せて威嚇すると言われてますが、実際はよく分かっていません
シロヒトリ

様々な呼び名

ヨナグニサンは様々な呼び名があります。例えば、与那国方言では「アヤミハビル」と呼ばれています。アヤミは「模様のある」、ハビルは「蝶」の意味です。

ヨーロッパではその体が巨大であることから、ギリシャ神話の巨人アトラスにちなみ、学名の「Attacus atlas」や英名では「atlas moth」(アトラスガ)と呼ばれてます。

巨人アトラスは巨躯を以て、両腕と頭で天の蒼穹を支えるといわれています。名前は「支える者」・「耐える者」・「歯向かう者」を意味する古印欧語に由来します。

また、地図帳(アトラス)のような翅の模様から命名されたとも言われています。地図帳(アトラス)はギリシャ神話において世界で最初に地球儀や天球儀を作ったとされるマウレタニア王アトラスから由来しています。

中国語では「皇帝の様な蛾」を意味する、皇蛾と呼ばれています。

巨人や皇帝の名前が使われているってそれだけ特別な存在に見えたんだね
イモチャン
一度見たら忘れられない衝撃があったからでしょう
シロヒトリ

まとめ

ヨナグニサンは巨大な体を持ちながら、寿命は約1週間と短く、非常に見ることが難しい蛾です。

しかし、沖縄県八重山郡与那国町にある「アヤミハビル館」では与那国の人々とアヤミハビルの関わりやその他の昆虫などが展示がされていて、そこでヨナグニサンの姿を観察することが出来ます。

アヤミハビル館のホームページへはこちら → http://welcome-yonaguni.jp/guide/507/

動画で飛んでいる姿を見たのですが、三角系の模様が光を反射してキラキラしててきれいでした
シロヒトリ
次回はシンジュサンについて紹介するよ!
イモチャン

オオミズアオ

オオミズアオ

学名:Actias aliena

今回は青白色の美しい蛾、オオミズアオについて紹介していきます
シロヒトリ

分類

オオミズアオはヤママユガに属しており、その中のActias(アクティアス)属に分けられています。

ヤママユガ科の仲間にはヤママユ・ヨナグニサンなどがいます
シロヒトリ

生態

成虫が見られるのは4 – 8月くらいまでで、年に2回ほど発生する。冬は蛹で越冬する。

成虫は口器が退化しており、物を食べたり、飲んだりすることができない。

 そのため、幼虫の時にモミジ、ウメのバラ科を中心にブナ科などの葉を食べて、体内に脂質を蓄えている

成虫になると、その脂質を使い果たす前に番(つがい)を探す。

そのため、成虫の寿命は大体1週間ぐらいといわれています
シロヒトリ

幼虫

幼虫は緑色で、節ごとに毛の束が少しだけ出る。大きさは最大で8cmぐらいになる。

毛には毒は含まれていない

ガの幼虫はチョウの幼虫と比べると体が大きく、体色は決まった色になる種もいるが体色が定まっていない種もいる。そのためガの幼虫は多彩な姿をしている。

食草はモミジ、ウメのバラ科を中心にブナ科などの葉を食べているよ!
イモチャン
毛虫というほど毛があるわけではなく、遠くからみると普通の青虫に見えます
シロヒトリ

成虫の見た目

オオミズアオ

オオミズアオは青白色の翅をしており、前翅は三角形になっていて、後翅は後方に伸びて尾状になる。

前翅と後翅にはそれぞれ中央に丸い斑紋が1個ずつあり、目玉のように見える

触角は櫛歯状で、雄でははっきりと発達する。

目玉模様から威圧感を感じるね
イモチャン
青白色の翅が美しいガです
シロヒトリ

旧学名には月の女神の名前が使われていた

オオミズアオの学名は[Actias artemis]と名付けられていました。artemis(アルテミス)はギリシャ神話に登場する月の女神です。

しかし、本種の日本産の学名は[Actias artemis] から[Actias aliena]に訂正されました。

その理由は次のようにあります。

 

artemisのタイプ標本(♀)は日本産のオオミズアオと同種ではなく、近縁の別種であることが Dubatolovら(2007)によって判明し、日本産のオオミズアオは aliena(Butler, 1879) を使用する事になった。

引用元 : 『日本産蛾類標準図鑑Ⅰ』325頁 オオミズアオ [分類] (2011)

途中から名前が変わったんだね
イモチャン
名前に月の女神の名前が使われたのは、翅が月のように青かったからでしょう
シロヒトリ

まとめ

初めて、図鑑で見たときにすごいきれいな蛾だなあと思いました。

それまで、蝶は好きでしたが蛾は苦手でした。オオミズアオは私の蛾に対するイメージを大きく変えた蛾です。

蛾は地味なイメージがあったから、オオミズアオを初めて見たときは衝撃的でした
シロヒトリ
次はオオムラサキについて紹介するよ!
イモチャン