ヨナグニサン
学名:Attacus atlas ryukyuensis
- 分類:ヤママユガ科
- 前翅長:12 – 13cm前後
- 時期:4月、7 - 8月、10月
- 分布:日本の南西諸島・インドから東南アジア
生態
春・夏・秋と年に3回発生する多化性です。
生息域
日本では沖縄県八重山諸島(石垣島・西表島及び与那国島)にのみ分布します。与那国島で初めて発見されたことから「ヨナグニサン」という和名が付けられました。
また、沖縄県指定天然記念物と指定されていて、採取することは禁じられています。
インドから東南アジア、中国、台湾、日本にかけて広く分布し、いくつかの亜種に分けられていて、日本が分布の北限にあたります。
森林と熱帯林に生息しています。
成虫
ヨナグニサンは日本最大の蛾です。その大きさは24 – 27cmにもなります。
昆虫の中で翅の面積が最大の蛾と言われていましたが、近年の研究によりニューギニアやオーストラリア北部に分布する蛾、ヘラクレスサンに次ぐ2位の大きさであることがわかりました。
また、世界最大のチョウであるアレクサンドラトリバネアゲハよりは小さいそうです
フィリピン産のカエサルサン、ニューギニアやオーストラリア北部のヘラクレスサンはヨナグニサンよりはるかに大型の別種です。
ヨナグニサンは夜に活動し、光に惹かれます。口吻自体が退化して摂食せず、幼虫時代に蓄積された栄養だけで活動する。そのため、寿命は約1週間と短い。
幼虫
幼虫の体色は緑色で白の埃っぽい毛が生えています。白の埃っぽい毛は成長するとより顕著に表れます。節ごとに緑の突起が出ています。
幼虫は成長すると約11cmになります。
食草は柑橘類・アカギ・カンコノキ類・モクタチバナ・トベラ・フカノキなど広食性です。
成虫の見た目
翅の地色は赤褐色で前翅の縁は黒色で内側の線は白色です。前翅の先端が鎌状に曲がっていて模様が蛇の頭のように見えます。
黒で縁取られた三角形の鱗分がない部分が特徴的です。
様々な色合いと模様が芸術品のように見えます。
様々な呼び名
ヨナグニサンは様々な呼び名があります。例えば、与那国方言では「アヤミハビル」と呼ばれています。アヤミは「模様のある」、ハビルは「蝶」の意味です。
ヨーロッパではその体が巨大であることから、ギリシャ神話の巨人アトラスにちなみ、学名の「Attacus atlas」や英名では「atlas moth」(アトラスガ)と呼ばれてます。
巨人アトラスは巨躯を以て、両腕と頭で天の蒼穹を支えるといわれています。名前は「支える者」・「耐える者」・「歯向かう者」を意味する古印欧語に由来します。
また、地図帳(アトラス)のような翅の模様から命名されたとも言われています。地図帳(アトラス)はギリシャ神話において世界で最初に地球儀や天球儀を作ったとされるマウレタニア王アトラスから由来しています。
中国語では「皇帝の様な蛾」を意味する、皇蛾と呼ばれています。
まとめ
ヨナグニサンは巨大な体を持ちながら、寿命は約1週間と短く、非常に見ることが難しい蛾です。
しかし、沖縄県八重山郡与那国町にある「アヤミハビル館」では与那国の人々とアヤミハビルの関わりやその他の昆虫などが展示がされていて、そこでヨナグニサンの姿を観察することが出来ます。
アヤミハビル館のホームページへはこちら → http://welcome-yonaguni.jp/guide/507/