カテゴリー: 蝶
ベニスジカワリタテハモドキ
ベニスジカワリタテハモドキ

学名:Precis archesia
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:2 – 3cm前後
- 時期:一年中
- 分布:サブサハラアフリカ

分類
ベニスジカワリタテハモドキはタテハチョウ科に属しており、その中のタテハチョウ亜科に分けられていてます。
タテハチョウ亜科のアフリカタテハモドキ属に分けられています。
タテハチョウ亜科はアトグロヒョウモンモドキ・リュウキュウムラサキなど多数存在します。
生態
1年で2回発生する二化性です。
生息域
ケニア、アンゴラ、ザンビア、ジンバブエ、ボツワナ、エスワティニ、南アフリカ共和国などの主にサブサハラアフリカに生息しています。
サブサハラアフリカとはアフリカのサハラ砂漠より南の地域です。別名でサハラ以南のアフリカともいいます。
アフリカには乾季と雨季の二つの季節があります。
乾季は3月から9月で雨季は10月から3月です。地域によって乾季や雨季の期間が異なります。
南半球では日本とは季節も逆で、乾季の時期は冬、雨季の時期は夏です。
サバンナ、丘陵地帯、森林、庭園に生息しています。


成虫
ベニスジカワリタテハモドキは日中に活動し、多種多様な花から吸蜜します。花の咲いた庭園・草原で多く見られるようです。
しかし、生息地としてはサバンナや岩場が多いようです。夜になると草や穴に止まります。
地面などに止まり翅を完全に広げて日光浴をします。
乾季、雨季によって生態が異なるかは不明です。
翅を開張すると4.5 – 6cm前後になる、中型のチョウです。メスはオスより1cm大きいようです。

幼虫
成熟した幼虫の体色は黒色で節ごとに枝分かれしたオレンジ色の棘があります。尾部にも棘があります。
また、頭部には二対の黒い角があります。
棘に毒があるかは不明ですが、手袋を着用せずに触るのは危険とされています。
食草はキンランジソなどのシソ科、レモングラスなどのイネ科の葉を食べます。

成虫の見た目

ベニスジカワリタテハモドキは季節によって翅の模様と色が大きく異なるのが特徴的です。
今回紹介するのはベニスジカワリタテハモドキの乾季の形態です。
翅の表側はこげ茶色で、両翅を横断するように赤い帯模様があります。前翅の上部の縁には青紫色の縦縞模様があります。
また、前翅の赤い帯模様の中央に白の斑点があります。この白の斑点は若干青紫色がかっています。
後翅には青紫色の縦縞模様はありません。後翅の赤い帯模様の中央に黒の斑点があります。
翅の裏側は表側と大きく異なります。
翅の裏側は茶色です。表側の模様をそのまま茶色に置き換えたような見た目です。しかし、翅の内側が樹皮のような模様をしています。
オスメスで見た目に大きな違いはありません。


アフリカタテハモドキ属の変化の謎
ベニスジカワリタテハモドキの雨季の形態では翅の表側は黒色で両翅を横断するように黄色の帯模様があるのが特徴です。
また、前翅の上部の縁に縦縞模様がありません。また翅の裏側の模様が帯模様が薄くなるぐらいの変化しかありません。
乾季・雨季の模様が混じった中間的な形態もいます。
何故ここまで季節によって見た目の変化が激しいのかは詳しくわかっていません。
一説によれば捕食者の混乱を招くためと考えられています。
姿を季節によって大きく変えることで別の種類の蝶と認識させ、警戒させる意味があるともいわれています。また、乾季・雨季の模様が混じった中間的な形態もいるため、区別できない可能性もあります。


まとめ
アフリカタテハモドキ属はコノハチョウに似たトガリタテハモドキ(学名:Precis tugela)などがいる不思議なチョウたちです。


ベニタテハモドキ
ベニタテハモドキ

学名:Precis octavia
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:3 – 4cm前後
- 時期:一年中
- 分布:サブサハラアフリカ

生態
1年で数回発生を繰り返す多化性です。
生息域
ギニア、ブルキナファソ、シエラレオネ、ガーナ、トーゴ、ベナン、ナイジェリア、カメルーン、ガボン、コンゴなどの主にサブサハラアフリカに生息しています。
サブサハラアフリカとはアフリカのサハラ砂漠より南の地域です。別名でサハラ以南のアフリカともいいます。
アフリカには乾季と雨季の二つの季節があります。
乾季は3月から9月で雨季は10月から3月です。地域によって乾季や雨季の期間が異なります。
南半球では日本とは季節も逆で、乾季の時期は冬、雨季の時期は夏です。
サバンナ、森林、植物園、草原に生息しています。


成虫
ベニタテハモドキは日中に活動し、多種多様な花から吸蜜します。花の咲いた草原で多く見られるようです。
地面または葉の上に止まり、翅を完全に広げて日光浴をします。
乾季、雨季によって生態が異なるチョウです。
乾季の形態は雨季の形態よりも活発に飛行する傾向がなく、日陰などの隠れられる場所でしばしば止まっています。森林地帯を好む傾向があります。
雨季の形態は活発に飛行し特定の地帯を好まず、様々な場所を移動しています。寒い気候では穴や岩の下で冬眠します。
翅を開張すると5 – 7cm前後になる、中型のチョウです。

幼虫
成熟した幼虫の体色は個体差があり、明るいオレンジ色と完全に黒色の個体がいます。
オレンジ色の個体には黒い帯模様があります。共通で節ごとに枝分かれした黒い棘があります。また、頭部には二対の黒い角があります。
乾季では完全に黒い個体が、雨季では明るいオレンジ色の個体が生まれる傾向があるようです。
食草はハーブなどのシソ科の葉を食べます。

成虫の見た目

ベニタテハモドキは季節と亜種によって翅の模様と色が大きく異なるのが特徴的です。
今回紹介するのは北部の亜種「Precis octavia octavia」の乾季の形態です。
翅の表側は青紫色で、黒の帯模様があります。また、両翅を横断するような赤い帯模様があります。前翅の上部の縁には小さな白い斑点があります。 後翅には小さな白い斑点はありません。
翅の裏側は表側と大きく異なります。
翅の裏側は紫がかった茶色です。表側の模様をそのまま紫がかった茶色に置き換えたような見た目です。
オスメスで見た目に大きな違いはありません。


ベニタテハモドキの形態の多様性
上記で北部の亜種「Precis octavia octavia」の乾季の形態を紹介しました。
それでは雨季の形態はどんな姿かといいますと、乾季と雨季では全く別の種に見えるほど見た目が違います。
北部の亜種「Precis octavia octavia」
北部の亜種「Precis octavia octavia」の雨季の形態では翅の表側はオレンジ色で縁が黒色なのが特徴です。
画像が用意できませんでしたが、雰囲気としては翅を丸くしたヒオドシチョウに似ています。
南部の亜種「Precis octavia sesamus」
南部の亜種も乾季と雨季では全く別の種に見えるほど見た目が違います。
南部の亜種「Precis octavia sesamus」の乾季の形態では翅の表側は明るい青色で黒と赤の帯模様が特徴的です。
南部の亜種「Precis octavia sesamus」の雨季の形態では翅の表側は明るい赤色で縁が黒色が特徴的です。「form natalensis」と呼ばれています。
乾季と雨季の個体で交尾することがあります。
自然では乾季と雨季の中間の模様の個体は珍しいようですが、飼育下では気温などの条件、環境によって両方の翅の模様の個体を人工的に作成することが出来るようです。
季節によって色と模様が大きく異なるので最初は異なる種として見られていたようです。


まとめ
アフリカタテハモドキ属のチョウは季節によって見た目が大きく異なるチョウたちです。


タイリクコムラサキ
タイリクコムラサキ

学名:Apatura ilia
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:3 – 4cm前後
- 時期:5 - 9月
- 分布:ヨーロッパ・東アジア

分類
タイリクコムラサキはタテハチョウ科に属しており、その中のコムラサキ亜科に分けられていてます。
コムラサキ亜科のコムラサキ属に分けられています。
コムラサキ亜科はオオムラサキ・シロコムラサキなど多数存在します。
生態
通常は1年で1回発生する一化性ですが、暖かい地域では2回発生する二化性です。
生息域
ヨーロッパのほとんどに分布していますが、北ヨーロッパには分布していません。
東アジアではロシア、中国、朝鮮半島で確認されています。日本に生息しているかは不明です。
主にヨーロッパ、東アジアに生息しています。
森林、林端、渓谷に生息しています。


成虫
タイリクコムラサキは日中に活動し、獣糞や腐肉などの汁を吸います。花には訪れません。また、植物の樹液を食べるアブラムシが分泌する甘露を吸います。
甘露は糖が多い粘りのある液体で、色は蜂蜜と似ています。
タイリクコムラサキは獣糞や腐肉をめったに目にすることはなく、栄養の大部分を甘露で補っていると考えられています。
翅を開張すると5 – 7cm前後になる、中型のチョウです。

幼虫
成熟した幼虫の体色は緑色で、体の中央に黄色のV字の模様があります。体中に黄色の小さな斑点が散りばめられています。
頭部に茶色のまたは黄色の二対の大きな角が生えています。背面にこの角を起点とした黄色の線が走っています。
食草はヤマナラシ、セイヨウハコヤナギなどのヤナギ科の葉を食べます。

成虫の見た目


タイリクコムラサキは翅の美しい紫色の金属光沢と後翅の縁の黒点が特徴的です。
翅の表側には紫色の金属光沢があります。翅の中央付近には両方の翅を横断するようなオレンジ色の帯模様があります。またオレンジ色の模様に黒い小さな斑点があります。前翅の茶色とオレンジの縁には白い斑点があります。
後翅には茶色の縁にオレンジ色の大きな斑点があります。このオレンジ色の斑点に黒い斑点が重なっています。
全体的に日本に生息しているコムラサキ(学名:Apatura metis)に非常に姿が似ています。見分け方は表側の後翅のオレンジ色の大きな斑点にある黒い斑点の有無です。
黒い斑点が無ければコムラサキ、黒い斑点があればタイリクコムラサキです。
タイリクコムラサキの翅の裏側は表側と大きく異なります。
翅の裏側は白っぽい茶色です。前翅は表側の模様が全体的に白っぽい茶色になり、白い斑点があります。後翅には茶色と白の帯模様があります。
オスだけに紫色の金属光沢があり、メスはこげ茶色です。


コムラサキの生活史
コムラサキはほとんどの時間を樹木の上部で過ごしています。特にメスは樹木の最上部である樹冠から降りることはめったにないといわれています。
しかし、時々餌を摂るために木から降りることはあります。
交尾はオスとメスが一緒に丘の上や樹木の最上部に移動し、そこで求愛と交尾が始まります。
交尾後、メスは太陽に照らされた日当たりのいい木々の葉の表側に産卵する傾向があります。樹冠から降りるのは餌か産卵の時だけです。
一方、オスは次のメスを探す前に、交尾のために獣糞や腐肉や甘露などを食べて栄養を補給します。


まとめ
コムラサキ亜科はオスの翅が金属光沢を持ち、メスが茶色などの地味な色をしているのが特徴です。


アオイチモンジ
アオイチモンジ

学名:Limenitis reducta
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:2 – 3cm前後
- 時期:5 - 9月
- 分布:中央・南ヨーロッパ

分類
アオイチモンジはタテハチョウ科に属しており、その中のイチモンジチョウ亜科に分けられていてます。
イチモンジチョウ亜科のオオイチモンジ属に分けられています。
イチモンジチョウ亜科はアメリカアオイチモンジ・トラフタテハなど多数存在します。
生態
通常は1年で1回発生する一化性ですが、暖かい地域では数回発生する多化性です。
生息域
中央ヨーロッパ、南ヨーロッパ(バルカン半島、アルプス山脈も含む)、西アジア(コーカサス山脈も含む)などに分布しています。
明るい森林、森の端、草原に生息しています。


成虫
アオイチモンジは日中に活動し、多種多様な花を吸蜜します。また、樹液や腐った果物、獣糞、アブラムシの出す甘い汁などを吸います。
オスは湿った砂や水辺を訪れ、生殖のために必須なミネラルを補うために吸水します。
敏捷で飛翔力が高く、飛行中に翅の光の反射があります。そのため、飛んでいる姿は突然閃光が走ったように見えます。
翅を開張すると4 – 6cm前後になる、中型のチョウです。

幼虫
成熟した幼虫の体色は黄緑色で、節ごとに太い枝分かれした茶色の棘があります。
太い枝分かれした茶色の棘の先端は黒色をしています。この棘は頭部と尾部付近の方が太く大きい傾向があります。
顔と側面に細かい白の毛が生えています。疣足と頭部は茶色です。
食草はスイカズラ科の葉を食べます。

成虫の見た目


アオイチモンジは翅のメタリックブルーの金属光沢と裏側の模様が特徴的です。
翅の表側はメタリックブルーの金属光沢があります。前翅には白い斑点があります。後翅には白の帯模様があります。翅の縁には黒い小さな丸い点が並んでいます。
アオイチモンジの翅の裏側は表側と大きく異なります。
翅の裏側は赤みがかった褐色です。前翅はこの赤みがかった褐色にこげ茶色が混ざり、白の斑点があります。後翅は内側が白く、また白い帯模様があります。両翅ともに縁には黒い小さな丸い点が並んでいます。
オスメスともに見た目に大きな違いはありません。


オオイチモンジ属の英名と属名
オオイチモンジ属のチョウは英名に「admiral」(提督)と名前が付いています。リストにすると次のようになります。
- オオイチモンジ(学名:Limenitis populi)ポプラ提督
- アオイチモンジ(学名:Limenitis reducta)南白提督
- アメリカオオイチモンジ(学名:Linenitis weidermeyerii)ワイデマイヤー提督
- アメリカアオイチモンジ(学名:Limenitis arthemis)白い提督
- ツマアカイチモンジ(学名:Limenitis lorquini)ローキンの提督
- カバイロイチモンジ(学名:Limenitis archippus)総督
属名の「Limenitis」とはラテン語では「港湾の」、古代ギリシャ語では「港」「避難所」を表す言葉です。
提督は艦隊の総司令官の呼び名です。いずれにしても海に関係のある名前が付けられています。何故海に関係のある名前が付けられているのかは謎です。


まとめ
イチモンジチョウ亜科ではオオイチモンジ属(提督蝶)のほかに、アメリカイチモンジ属(姉妹蝶)、チャイロイチモンジ属(司令官蝶)など個性的な名前が付けられています。


ヒイロツバメシジミ
ヒイロツバメシジミ

学名:Talicada nyseus
- 分類:シジミチョウ科
- 前翅長:1 – 2cm前後
- 時期:一年中
- 分布:インド亜大陸・東南アジア

分類
ヒイロツバメシジミはシジミチョウ科に属しており、その中のシジミチョウ亜科に分けられていてます。
シジミチョウ亜科のタリカダ属(Talicada)に分けられています。
シジミチョウ科はイカルスヒメシジミ・ゴイシシジミなど多数存在します。
生態
1年で数回発生を繰り返す多化性です。
生息域
ヒマラヤ山脈、北インド、南インド、メガラヤ州、アッサム、北ミャンマー、タイ、ベトナムなど主にインド亜大陸、東南アジアに分布しています。
森林、平野、庭園、丘陵地帯に生息しています。


成虫
ヒイロツバメシジミは日中に活動し、アマランサス、アカンサスなどのハーブの花を吸蜜します。アルテルナンテラなどの園芸種も好みます。
オスは湿った砂や水辺を訪れ、生殖のために必須なミネラルを補うために吸水します。また、集団になることはなく単独で行動します。
翅を半分開いて日光浴をしますが、太陽よりも日陰を好んでいます。葉や小枝の裏側に落ち着くときは、ほとんど暗くなるまで翅を閉じたままです。
翅を開張すると3 – 3.5cm前後になる、小型のチョウです。

幼虫
成熟した幼虫の体色は薄い黄緑色で、体長が短いため丸い印象を受けます。全身が小さな白い毛で覆われています。
気孔は黒色で、頭部は黄色です。
食草はカランコエなどのベンケイソウ科の葉を食べます。

成虫の見た目


ヒイロツバメシジミは翅の裏側の緋色の帯模様と黒と白の縁が特徴的です。
翅の表側は黒色で、前翅は模様がなく黒一色です。後翅の下側にはオレンジ色の帯模様があります。 縁には黒と白の模様があり、少し毛があります。 また短い黒と白の尾状突起があります。
ヒイロツバメシジミの翅の裏側は表側と大きく異なります。
翅の裏側は白色で、白色の部分には黒の斑点が点々とあります。縁には黒と白のレース模様があります。この模様に重なるように緋色の帯模様があります
オスメスともに見た目に大きな違いはありません。 しかし、メスの方が体が大きい傾向があるようです。


ピエロのチョウ
インドには通称「Pierrot」(ピエロ)と呼ばれているシジミチョウたちがいます。リストにすると次のようになります。
- ドウケシジミ(学名:Castalius rosimon)コモンピエロ
- ヒイロツバメシジミ(学名:Talicada nyseus)レッドピエロ
- タルカス・アナンダ(学名:Tarucus ananda)ダークピエロ
- タルカス・バルカニクス(学名:Tarucus balkanicus)バルカンピエロ
- ディスコラムパ・エチオン(学名:Discolampa ethion)バンドブルーピエロ
ピエロまたは道化師は派手な格好をし、行動、言動などをして他人を楽しませる役者です。また、ピエロは派手な衣装と顔に白塗りのメイクをしています。
翅の模様がピエロの衣装や化粧のように、表側の模様が派手な衣装で、裏側の白い模様が化粧のように見えたのでしょう。
以上のような要因によってこのような名が付けられたと考えられます。


まとめ
インドは巨大な山脈であるヒマラヤ山脈があります。そのためか、移動してくるチョウが少なくチョウの種類はそれほど多くありません。
しかし、独自の進化を遂げた個性的なチョウが多いです。


キベリタテハ
キベリタテハ

学名:Nymphalis antiopa
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:3 – 4cm前後
- 時期:4 - 9月
- 分布:ユーラシア大陸・北アメリカ

生態
1年で1回発生する一化性です。
生息域
ユーラシア大陸、北アメリカなどの主に北半球の温帯・寒帯に広く分布しています。
日本では北海道・本州に生息しています。日本では中部地方から北海道までの涼しい地域に分布しています。
広葉樹林、山地、高山草原に生息しています。


成虫
キベリタテハは日中に活動し、樹液や腐った果物、獣糞から汁を吸います。花には訪れません。 また、水を吸水することがあります。
時々木の幹や枝、地面に止まり日光浴をします。
キベリタテハは成虫のまま越冬します。越冬する場所は木の空洞や雪で覆われた樹皮などに止まり、春を待ちます。
寿命は11~12か月でチョウの中で最も長い寿命の1つといわれています。
翅を開張すると6 – 7cm前後になる、中型のチョウです。

幼虫
成熟した幼虫の体色は黒色で、背面に8つの赤みがかったオレンジ色の大きな斑点があります。この斑点に黒い線が通っています。
体中に小さな白い斑点が散りばめられていて、節ごとに枝分かれした黒い棘が生えています。
疣足はオレンジ色で、頭部は黒色です。
食草はヤナギなどのヤナギ科、アメリカニレなどのニレ科、シラカンバなどカバノキ科の葉を食べます。

成虫の見た目


キベリタテハは翅の黄白色の太い縁が特徴的です。
翅の表側は赤褐色で少し光沢があります。前翅後翅ともに黄白色の太い縁があります。この縁の内側には水色の斑点が点々と並んでいます。
この模様は本種特有のもので、他に類似している種がいないので、区別しやすいチョウです。
キベリタテハの翅の裏側は表側と大きく異なります。
翅の裏側は灰色または黒色で、樹皮のような縞模様になっています。しかし、表側と同様に黄白色の太い縁があります。
翅の裏側の模様は樹皮に似ていています。キベリタテハが木に止まると翅を閉じて、木の樹皮にカモフラージュします。
オスメスともに見た目に大きな違いはありません。


キベリタテハの名前
キベリタテハは北半球の温帯・寒帯に広く分布しているチョウです。そのため国ごとに名前があります。
英名
北アメリカでは「mourning cloak」(喪のマント)といわれています。
「mourning」とは特に死による悲嘆、哀悼、喪、喪中、追悼、喪服、喪章のことを示す言葉です。
また「cloak」(クローク)は袖のないコートやマントを示す言葉です。
チョウは世界各地で人の死や霊に関連する概念があります。
キベリタテハは翅の裏側の色が灰色または黒色なので喪服に結び付けられていると考えられます。 また、黄白色の太い縁が袖のない部分に見えたのでしょう。
2001年にアメリカのモンタナ州の州のチョウに採用されました。
イギリス名
イギリスでは「Camberwell beauty」(キャンバーウェルビューティー)と呼ばれています。
これはロンドン南部にある地域「Camberwell」の場所で最初に発見されたことに由来します。
二人の学者が最初にキベリタテハを発見したときに驚きとその美しさから「beauty」と名を付けました。
これを続けて読むと「Camberwell beauty」(キャンバーウェルビューティー)になります。


まとめ
タテハチョウ属は寿命が長く、翅の裏側が樹皮に似ているのが特徴です。


シレネウズマキタテハ
シレネウズマキタテハ

学名:Callicore pygas
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:2 – 3cm前後
- 時期:一年中
- 分布:中南米

分類
シレネウズマキタテハはタテハチョウ科に属しており、その中のカバタテハ亜科に分けられていてます。
カバタテハ亜科のウズマキタテハ属に分けられています。
カバタテハ亜科はマルバネカスリタテハ・ルリツヤタテハなど多数存在します。
生態
1年を通じて数回発生を繰り返す多化性です。
生息域
ベネズエラ、ガイアナ、エクアドル、ペルー、ボリビア、パラグアイ、ブラジル、エクアドル、アマゾン地域などの主に中南米に生息しています。
熱帯雨林に生息しています。


成虫
シレネウズマキタテハは日中に活動しますが、何を食べているかは不明です。
しかし、オスは砂州などに訪れ、固まった溶岩から生殖に必要なミネラルを吸収していることは確認されています。
固まった溶岩にはミネラル分が多く含まれています。
翅を開張すると4 – 5cm前後になる、小型の蝶です。

幼虫
成熟した幼虫の体色は透明な緑色で、側面に小さな白い斑点が散りばめられています。疣足は黄色です。尾部には二対の黄色の尾があります
頭部は黄色で、二対の黒色の長い角が生えています。
食草はセルジャニア、アロフィラスなどのムクロジ科の植物を食べます。

成虫の見た目

シレネウズマキタテハは翅の裏側の青い金属光沢の模様が特徴的です。
翅の表側は黒色または褐色になっています。前翅の内側の部分は赤色で翅を広げると模様が扇状にみえます。翅の縁付近に白の小さな斑点があります。
後翅は赤色が無く、縁に青い金属光沢のある細長の斑点が3つ並んでいます。
シレネウズマキタテハの翅の裏側は表側と大きく異なります。
翅の裏側の前翅は黒色で内側の部分に赤色があります。表側にあった白の小さな斑点は黄色になり縁に水色が入ります。表側の模様に黄色と水色を足したような見た目です。
後翅には同心円状の黒と黄色の線に囲まれた青い金属光沢の斑点があります。また縁側の黒線の中央にも青い金属光沢のある線があります。内側には赤い斑点が2つあります。


ウズマキタテハ属と人間との関係
ウズマキタテハ属は美しい色合いと金属光沢を持つ蝶達です。また、翅の模様が世界で最も人気のあるチョウの1つであるミイロタテハに似ています。
そのため、人気があり、装飾品やジュエリーまたは土産物などのために翅が使用されています。
人気のある蝶ですがその生活史ははっきりと解明されていません。
研究が進んでいないのはアマゾン地域などの熱帯雨林に生息しているため、見つけづらいのもあるからでしょう。


まとめ
中南米などの熱帯雨林に生息しているチョウは美しい色や金属光沢を持つことが多いです。
たとえば、モルフォチョウ属は翅に金属光沢があります、


タイスアゲハ
タイスアゲハ

学名:Zerynthia polyxena
- 分類:アゲハチョウ科
- 前翅長:2 – 3cm前後
- 時期:4 - 6月
- 分布:中央・南ヨーロッパ

分類
タイスアゲハはアゲハチョウ科に属しており、その中のウスバアゲハ亜科に分けられていてます。
ウスバアゲハ亜科のタイスアゲハ属に分けられています。
ウスバアゲハ亜科はアポロウスバシロチョウ・ギフチョウなど多数存在します。
生態
1年を通じて1回発生する一化性です。
生息域
フランス、イタリア、スロバキア、ギリシャなど主に中央・南ヨーロッパに生息しています。
また、カザフスタンやトルコなどにも生息しています。
牧草地、渓谷、湿地に生息しています。


成虫
タイスアゲハは日中に活動し、様々な花から吸蜜します。
オスは自分の縄張りを持ち、縄張りを定期的にパトロールしています。飛翔はゆるやかに飛びます。
夕方になると茂みなどのねぐらに戻り、腹部を曲げて枝に止まり休息します。
翅を開張すると4 – 6cm前後になる、中型の蝶です。

幼虫
成熟した幼虫の体色はベージュ色で、節ごとにオレンジ色の枝分かれした棘があります。このオレンジ色の棘は先端部分が黒色です。疣足はオレンジ色で、気孔は黒色です。
頭部はオレンジ色で、角はありません。
食草は「Aristolochia clematitis」(クレマティティス)などのウマノスズクサ科の植物を食べます。
ウマノスズクサ科の植物は毒性のあるアリストロキア酸を含み、幼虫時代にその葉を食べることによって、体内に毒を蓄えます。この毒は成虫になっても残り続けます。
毒を持つことによって、鳥などの捕食者から身を守っています。

成虫の見た目

タイスアゲハは黄色の翅と翅の縁の黒い縄模様が特徴的です。
翅の表側は黄色で、黒い翅脈が走っています。前翅は黒い斑点と縁に黒い縄模様と複雑な模様をしています。
後翅は前翅と同じく黄色で、黒い斑点と縁に黒い縄模様があります。縁の模様には薄い青色の斑点と赤い斑点があります。この赤と青の斑点は体に毒があることを示す警告色と考えられています。
オスメスともに見た目に大きな違いは特にありませんが、メスは翅がオスより少し長く、オスよりも明るい色といわれています。


タイスアゲハの英名・学名
英名
タイスアゲハの英名の「festoon」(フェストゥーン)とは花、葉、リボンなどを縄状に編んで、花縄の中央部をたるませ、両端を縛った装飾品や文様のことを示します。
主にローマ時代に盛んに用いられ、イタリア・ルネサンス期やバロック期にも多くみられた文様です。
また、懸華装飾、花綱装飾とも呼ばれます。
学名
タイスアゲハの小種名の「polyxena」(ポリュクセネー)とはギリシャ神話に登場する、トロイアの女王です。
ポリュクセネーはホメーロスの最古期の古代ギリシア詩作品『イーリアス』には登場せず、後世の詩人が『イーリアス』にロマンス要素を追加するために登場させた人物といわれてます。
ポリュクセネーの物語は次のようになります。
あるとき、彼女の兄弟トローイロスが20歳になればトロイアは敗れないだろうとの神託が下った。トロイア戦争中、ポリュクセネーとトローイロスが泉から水を汲んでこようとしたときに待ち伏せされ、トローイロスはギリシアの戦士アキレウスに殺された。アキレウスはポリュクセネーの物静かな賢明さに惹かれるようになった。
パトロクロスの死から立ち直りきっていなかったアキレウスはポリュクセネーの言葉に慰められ、彼女がアポローンの神殿で礼拝した後に会うようになった。アキレウスはポリュクセネーを信じきって、彼の唯一の弱点がかかとであることを明かした。
後に、同じアポローンの神殿でポリュクセネーの兄弟であるパリスとデーイポボスがアキレウスを待ち伏せて、そのかかとに毒矢を撃ちこんだ。これにはアポローンの加護があったとされる。
パリスの矢で瀕死の重傷を負ったアキレウスはその後死んでしまいます。アキレウスはポリュクセネーに恋をしていました。
ポリュクセネーの死については諸説あり、アキレウスの死後、責任を感じたポリュクセネーがすぐ自殺したという説と、トロイア戦争終結時に死んだという説があります。


まとめ
ウスバアゲハ亜科の蝶は変わった形、模様をしている蝶が多いです。


アオタテハモドキ
アオタテハモドキ

学名:Junonia orithya
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:2 – 3cm前後
- 時期:3 - 11月
- 分布:アフリカ・東南アジア

分類
アオタテハモドキはタテハチョウ科に属しており、その中のタテハチョウ亜科に分けられていてます。
タテハチョウ亜科のタテハモドキ属に分けられています。
タテハモドキ属はナンベイタテハモドキ・ルリボシタテハモドキなど多数存在します。
生態
1年を通じて数回発生を繰り返す多化性です。時期は3 – 11月ですが、1年中見られる地域もあります。
生息域
南アジア、東アジア、東南アジアなど主に東南アジアなどの広い範囲に生息しています。
また、アフリカではサブサハラアフリカの地域、オーストラリアなどにも生息しています。
日本では沖縄、八重島列島などの南西諸島に生息しています。九州などでも見られることがあるようですが、定着しているかは不明です。
草原、農地、沿岸、サバンナに生息しています。


成虫
アオタテハモドキは日中に活動し、様々な花から吸蜜します。 オスは腐った果物の汁も吸います。
日光が当たる草原で飛んでいる蝶で、時々地面や草に止まり日光浴をします。自分の縄張りを持っていて、縄張りに入った他の蝶を追い払います。
翅を開張すると5 – 6cm前後になる、中型の蝶です。

幼虫
成熟した幼虫の体色は黒色で、黄色の斑点がありその斑点から枝分かれした黒い棘があります。疣足は黒色です。
頭部は黄色で、二対の黄色の角が生えています。
食草は広食性で様々な植物を食べます。主にキツネノマゴ科、オオバコ科、クマツヅラ科、ゴマノハグサ科、ベンケイソウ科の植物を食べます。

成虫の見た目

アオタテハモドキは後翅の青い模様と眼状紋が特徴的です。
翅の表側は茶色で、内側が黒色になっています。前翅の茶色の部分には2つの眼状紋があります。眼状紋は中心から青、黒、黄色になっています。黒色の部分の上部には赤と青の小さな縦模様があります。
日本などに生息している亜種「J. o. orithya」には赤と青の小さな縦模様が無い場合があります。
後翅は青色で外縁は茶色です。青色の部分には2つの眼状紋があります。外側の眼状紋は黒色で内側の眼状紋は赤色が特徴的です。
翅の裏側は表側と大きく異なります。色は翅全体がベージュ色になり、前翅にはオレンジ色の縦模様があります。前翅後翅ともに眼状紋があり、中心から青、黒、オレンジになっています。
上記の特徴は全てオスの特徴です。
メスは青色の部分が少なく、全体的に茶色が目立ちます。


タテハモドキ属の系統
タテハモドキ属の祖先はアフリカで生まれたと考えられています。
季節風などの風に乗ってアフリカからアジアに拡大し、その後アジアからオーストラリアや南アメリカなどに拡大した可能性があるといわれています。その流れで多くの種族に分かれたと考えられています。
実際にタテハモドキ属は草原などの開けた場所を好むため、風に流されやすい蝶です。
例えば、日本ではアオタテハモドキは南西諸島に生息していますが、迷蝶として関東地方で発見されたことがあります。
このように、風などで飛ばされた地で環境に適していれば定着していったと考えられます。また、広食性であることも広い範囲に適応できる理由といえます。


まとめ
タテハモドキ属はオスメスの識別が難しい蝶ですが、アオタテハモドキは比較的識別しやすい蝶です。


サザナミムラサキ
サザナミムラサキ

学名:Hypolimnas salmacis
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:4 – 5cm前後
- 時期:不明
- 分布:サブサハラアフリカ

分類
サザナミムラサキはタテハチョウ科に属しており、その中のタテハチョウ亜科に分けられていてます。タテハチョウ亜科のメスアカムラサキ属に分けられています。
メスアカムラサキ属は4つのグループに分けられています。サザナミムラサキはサザナミムラサキ群に属しています。
メスアカムラサキ属はリュウキュウムラサキ・アリメナムラサキなど多数存在します。
生態
1年を通じて何回発生するかは不明です。
生息域
シエラレオネからスーダン、エチオピアまでのサブサハラアフリカのほとんどの地域に生息しています。また、コンゴ共和国、ウガンダ、タンザニアにも生息しているようです。
サブサハラアフリカとはアフリカのサハラ砂漠より南の地域です。サハラ以南のアフリカともいいます。
二次林、川、サバンナに生息しています。


成虫
サザナミムラサキは日中に活動し、チークなどの様々な花から吸蜜します。
オスは湿った砂や水辺で生殖のために必須なミネラルを補うために吸水します。
また、オスは茂みなどで翅を開いた状態で止まり、道を通過するメスを待ちます。
翅を開張すると8 – 9cm前後になる、中型の蝶です。

幼虫
成熟した幼虫の体色は黒色で、節ごとにオレンジ色の枝分かれした棘があります。疣足はオレンジ色です。
頭部はオレンジ色で、二対の黒い角が生えています。
食草は「Urera trinervis」などのイラクサ科の植物を食べます。

成虫の見た目

サザナミムラサキは黒色の翅と青と白または紫色のグラデーションが特徴的です。
翅の表側は黒色で、翅全体に黒い細い翅脈が走っています。前翅は黒の翅に青と白または紫色のグラデーションの模様があります。また、前翅の端部分に小さな白い斑点が2つあります。後翅は前翅と同じ模様をしています。縁は黒に小さな白い斑点が並んでいます。
翅の裏側は模様は表側と変わりませんが、色が大きく異なります。黒色の部分が全て茶色になり、青色のグラデーションもありません。唯一、前翅の中央の外側に青色の部分があります。
上記の特徴は全てオスの特徴です。
メスはオスと同じ模様の個体と全体が茶色の個体がいます。


メスアカムラサキ属のメスの生態
メスアカムラサキ属の蝶は「egg fly」(エッグフライ)として知られています。
これは寄生バチやアリなどの捕食者による攻撃から守るために、卵を守る習性があるからです。
メスアカムラサキ属の蝶のメスは卵の世話する
まず宿主植物の葉の裏側に卵を産みます。メスは数日間、卵をつけた葉に留まり、卵を守ります。卵は約4日で孵化します。
卵を守ったメスはそのまま死んでしまうそうです。
サザナミムラサキがこの習性を持っているかは不明ですが、この習性をおそらくは持っていると思われます。


まとめ
サザナミムラサキの青色のグラデーションの部分は虹色に見えることがあるようです。これは鱗の光の屈折によって引き起こされる構造色によるものと考えられていますが、詳しく解明されていません。
そのため、研究が続けられている蝶です。


オスジロアゲハ
オスジロアゲハ

学名:Papilio dardanu
- 分類:アゲハチョウ科
- 前翅長:4 – 5cm前後
- 時期:不明
- 分布:サブサハラアフリカ

生態
1年を通じて何回発生するかは不明です。
生息域
北アフリカ以外の主にマダガスカルを含むサブサハラアフリカのほとんどの地域に生息しています。
サブサハラアフリカとはアフリカのサハラ砂漠より南の地域です。サハラ以南のアフリカともいいます。
熱帯雨林、雲霧林、公園などに生息しています。


成虫
オスジロアゲハは日中に活動し、ランタナなどの様々な花から吸蜜します。また、腐った果物の汁も吸います。
オスは湿った砂や水辺で生殖のために必須なミネラルを補うために吸水します。
翅を開張すると8 – 14cm前後になる、中型の蝶です。

幼虫
成熟した幼虫の体色は緑色で、頭部付近と尾部に二対の短い黄色の突起があります。疣足は白色です。 背面に黒い模様が少しあります。
他のアゲハチョウ科の幼虫のように、頭部付近に眼状紋があります。
食草はシトラスなどのミカン科、「Xymalos」(レモンウッド)などのモ二ミア科の植物を食べます。

成虫の見た目


オスジロアゲハは白色の翅と黒い縁取りが特徴的です。
翅の表側は白色で、翅全体に黒い細い翅脈が走っています。前翅は白の翅に黒い縁取りがあります。その黒い縁取りに楕円形の白の斑点が一つあります。後翅には黒い縁取りに白の斑点がまだらにあります。また、尾状突起があります。
翅の裏側は模様は表側と変わりませんが、全体的に色が薄くなり、黒色の部分が茶色になります。
上記の特徴は全てオスの特徴です。オスジロアゲハはオスでも見た目が大きく異なる亜種もいます。今回の画像の個体は「P. d. cenea」という亜種です。
メスは擬態の多型現象が顕著で、主にマダラチョウの仲間に擬態しています。


メスの多型現象
オスジロアゲハのメスは地域ごとに毒のある蝶に擬態しています。毒のない生物が毒のある生物の模様や外見を模倣することをベイツ型擬態といいます。
オスジロアゲハのメスの擬態のパターンは大きく分けると3つに分けられます。
- カバマダラグループ ・・一番多く擬態されているグループ
- シロモンマダラグループ ・・シロモンマダラに擬態、尾状突起が無い
- ホソチョウグループ ・・翅の中央に黄色などの大きな斑点がある
擬態する多くのメスの蝶には尾状突起がありません。しかし、一部の地域ではオスの模様と尾状突起がある姿をしたメスもいます。
また、蝶だけでなく蛾のツバメガ科に模倣するパターンもあるそうです。
このようにメスにいくつかの擬態の型が現れる現象のことを多形現象といいます。


まとめ
イギリスの昆虫学者「E.B.ポールトン」(1856年-1943年)はオスジロアゲハのことを『世界で最も興味深い蝶』と言いました。
それだけ様々な形態・生態をしている不思議な蝶です。

