セクロピアサン
学名:Hyalophora cecropia
- 分類:ヤママユガ科
- 前翅長:6 – 8cm前後
- 時期:3 - 7月
- 分布:カナダ・アメリカ北東部
生態
1年に1回発生する一化性です。
生息域
カナダ南部、アメリカ合衆国ではノバスコシア州とメイン州南部からフロリダまでの範囲に生息しています。また、ロッキー山脈でも確認されています。
主にカナダ、アメリカ合衆国北東部に生息しています。
森林、公園、都市、郊外などに生息しています。
成虫
セクロピアサンは口吻自体が退化して摂食せず、幼虫時代に蓄積された栄養だけで活動します。
夜間に活動し、寿命が尽きる前に番(つがい)を探します。また、光に惹かれる性質があります。
メスは揮発性の性フェロモンを放出し、オスは飛んで、大きな触角を介してこれを検出します。 オスはフェロモンを数メートルの距離で検出し、フェロモンが来ている方向に飛んでメスに到達することができます。オスがメスに到達すれば交尾が始まります。
交尾は早朝に始まり、夕方まで続きます。また、メスは宿主植物や低木の葉の両側に2〜6個の卵を並べます。卵は10~14日で孵化します。
翅を開張すると13 – 18cm前後になる、北米の在来種で最大の蛾です。
幼虫
成熟した幼虫の体色は明るい青みがかった緑色で、背面や側面のカラフルな突起が特徴です。背面には頭部から順に赤、黄色の突起があります。側面には水色の突起があります。
突起の先端には黒い棘があります。この黒い棘は成長していくと、だんだん小さくなっていきます。
疣足は黄色で、頭部は体色と同じ明るい青みがかった緑色です。
幼虫は最大で11cm前後になります。
食草は広食性で多種多様の植物を食べます。主にカエデ、ブナ、マメ、モクセイ、マツ、ツツジ、バラなどを食べます。
成虫の見た目
セクロピアサンは茶色の翅と赤い三日月模様が特徴です。
基本的に全体は茶色で構成されています。前翅の中央付近は赤色で、白と赤の帯模様があります。縁は白色で前翅には眼状紋があります。
翅に一つずつ赤い三日月模様があります。三日月模様は中心から白、赤、黒になっています。
胴体は赤色で首の部分は白色です。脚は赤色で、腹部は赤と白の縞模様になっています。
触角は黒色です。
オスメスともに見た目に大きな違いはありません。
セクロピアサンの抗生物質
セクロピアサンはセクロピンという物質を体内で作っています。これは人間が風を引いたときに使う抗生物質と同じ役割を持っています。
セクロピンは次のような特性をもっています。
セクロピアサンは、自分自身で抗生物質をつくっているので、もちろん薬の副作用の心配もない。必要に応じてセクロピンを作り出し、自分の体を病原菌から守る。
セクロピアサンは細菌の攻撃を受けると、細菌の細胞膜を破壊し、細菌が体内で増え続けることを防ぐ。細胞膜そのものを破壊するので、何度も抗生物質を使うことで菌が強くなって(耐性を持つと言います)、薬が効きにくくなることもない。
さらにセクロピンは、ケガをしたときにも早く治るような働きをもっている。
また、セクロピンは非常に多くの細菌に対して効果のある物質であることが分かっています。
このような生物が進化的に保存した自然免疫反応のことを、抗微生物ペプチドといいます。
抗微生物ペプチドは新規治療薬として非常に有力な候補とされています。
まとめ
セクロピアサンはセクロピンの実験のほかに、その見た目と体の大きさからコレクターに人気の蛾です。
そのため、卵や蛹が販売されています。