
学名:Anthocharis cardamines
- 分類:シロチョウ科
- 前翅長:2cm前後
- 時期:5 - 7月
- 分布:ヨーロッパ・ユーラシア大陸

分類
クモマツマキチョウはシロチョウ科に属しており、その中のシロチョウ亜科に分けられていてます。
シロチョウ亜科のクモマツマキチョウ属に分けられています。
シロチョウ亜科はユーカリスカザリシロチョウ・ハイイロツマキチョウなど多数存在します。
生態
1年で1回発生する一化性です。
生息域
主にヨーロッパ、ユーラシア大陸の高山帯、亜高山帯に生息しています。
日本では本州中部地方にある日本アルプスや北海道中部高地帯で見られます。
森林限界(森林が成立しない高度)より上部の高山帯に生息している蝶は高山蝶と呼ばれています。
しかし、クモマツマキチョウは標高が1000m以下の平地でも見られることがあるため、高山のみに生息する蝶ではありません。
高山帯、亜高山地帯、森林、牧草地、林道に生息しています。


成虫
クモマツマキチョウは日中に活動し、タンポポなどの花に訪れ吸蜜します。
翅を開張すると3cm前後になる。
オスとメスで生息域が異なるチョウです。
オスは森林地帯に生息していて、明るい日光の下で飛ぶことを好んでいます。森林にいますが、森の中の日陰を避けます。
メスは牧草地や丘陵地帯に生息しています。
しかし、地域によってはオスとメスが一緒に生息している場合があります。

幼虫
薄い青緑色の体色をしています。芋虫そのものの見た目をしています。
同じ宿主植物に複数の卵が産まれた場合、最初に孵化する幼虫はその卵を食べます。
共食いをする幼虫です。
食草はイワハタザオなどのアブラナ科の植物を食べます。

成虫の見た目
クモマツマキチョウは性的二系が著しい蝶です。


オス
オスは前翅の明るいオレンジ色が特徴です。
翅の表側は白色がベースで前翅にオレンジ色があり、黒色の小さな点があります。前翅の縁は黒色です。
翅の裏側は前翅は表側と同じですが、後翅が草のような模様をしています。
この模様は植物に止まって翅を閉じると、植物に擬態することができる、カモフラージュの役割を果たしています。



メス
メスにはオスにあったオレンジ色の模様がありません。
全体的に白または灰色です。
しかし、翅の裏側の模様はオスと同じ草の模様です。


クモマツマキチョウの求愛
クモマツマキチョウの求愛はメスの行動に大きく依存します。
オスは天気がいい日には、メスを探してパトロールをしています。
オスがメスを見つけると交尾の儀式なしで交尾します。
しかし、メスが羽を広げて腹部を上げることで、交尾を拒否することがあります。
これはオスにメスが交尾に受容的でないことを伝え、腹部を上げることでオスが交尾することを物理的に不可能にします。
一度交尾したメスは性欲を抑える効果がある特殊なフェロモンをもち、交尾を拒否する行動をするとオスは立ち去ります。
しかし、一度も交尾をしたことがないメスは交尾を拒否する行動をとっても、特殊なフェロモンを持っていないため、オスは粘り強く待つことがあります。


まとめ
クモマツマキチョウは「クモツキ」の愛称で親しまれています。
独特な模様は人を惹きつけます。

