ヨーロッパメンガタスズメ
学名:Acherontia atropos
- 分類:スズメガ科
- 前翅長:4 – 7cm前後
- 時期:夏もしくは1年中
- 分布:ヨーロッパの南部・アフリカ・イギリス
分類
ヨーロッパメンガタスズメはスズメガ科に属しており、その中のメンガタスズメ属に分けられています。
メンガタスズメ属はヨーロッパメンガタスズメ・クロメンガタスズメ・メンガタスズメの3種類が存在します
生態
成虫は夏に見られ、気象条件が許せば年に数世代を生産する多化性です。
生息域
中東および地中海地域、南端に至るアフリカの大部分、そして最近はイギリス南部にまで発生します。
また、インドからサウジアラビア西部、カナリア諸島とアゾレス諸島から西部まで発生します。
森林地帯や郊外に生息しています。
成虫
ヨーロッパメンガタスズメは夜に活動し、ミツバチの巣を襲撃する蜂蜜泥棒として有名です。
本種は他のスズメガ科よりも口吻の先端が強靭で、かなり固いものにも穴を穿つことができます。
これらを用いてミツバチの巣を襲って巣に穴をあけ、そこから蜂蜜を盗み飲むます。
さらにミツバチの巣に近づけるように、ミツバチのフェロモンを真似た物質を分泌する特技もありますが、巣内に深入りし過ぎて働きバチの逆襲にあい、そのままそこで息絶え亡骸を蜂蜜漬にされることがあります。
また、大型の蛾で開帳すると8 – 12cmになります。
幼虫
幼虫の体色は明るい黄色で青色のラインが節ごとに走っていて、背中はごま模様をしています。
腹部の末端に「尾角」と呼ばれる尾状突起を持っています。黄色の尾角をしています。
幼虫は成長すると約12 – 13cmになります。
食草はナス科・クマツヅラ科・モクセイ科・ノウゼンカズラ科・じゃがいもなど広食性です。
成虫の見た目
メンガタスズメ属の最大の特徴は背面の模様が人の頭蓋骨に見えることです。
翅の地色は茶色・黄色・灰色・クリーム色・青色など様々な色合いがあります。
後翅は黄色で、表面に斜めに伸びる波状の2つの茶色の縞模様があります。休息時には、前翅が下向きに折り畳まれ、前翅の後ろに後翅が隠れます。
鳴く蛾
ヨーロッパメンガタスズメはチョウ目昆虫としては異例な特徴を持っています。
外部の身体部分をこすり合わせることによって音を生成するほとんどの蛾と異なり、幼虫・成虫ともに鳴くことができるということです。
音は空気を吸い込んで吐き出すことによってうまれます。
アコーディオンのように上咽頭を振動させて音を出します。幼虫はピシッという音を出し、成虫は危険を感じるとキイキイと大きな音を出すなど、きしんだ音を出します。
しかし、この音を発する理由は明確ではありません。音が捕食者を阻止するために使われていると考えられています。
まとめ
ヨーロッパメンガタスズメ[Acherontia atropos]は種名と属名の両方とも死に関連する名前から来ています。
種名の「atropos」はギリシャ神話の女神アトロポスから命名されました。アトロポスは運命の三女神・モイラの1柱です。
ギリシャ神話によると、3柱のモイラは人間の運命を決定し、寿命・死・生命などに関連する神です。
属名「Acherontia」は、ギリシャのエピラスにある川アケロンに関連しています。神話では、アケロンは大きくて暗い渓谷が流れていたため、ハデスに至る経路と考えられていました。
上記の生態や頭蓋骨に見える模様から不吉・不幸・死の象徴とされており、多くの迷信があります。