シロヒトリ
学名:Chionarctia nivea
- 分類:トモエガ科
- 前翅長:3 – 4cm前後
- 時期:7 - 9月
- 分布:東アジア
生態
1年に1回発生する一化性です。
生息域
ロシアでは中央アムール、プリモリエ、樺太(サハリン島)、クナシル、シベリアで発見されています。他には中国、韓国、日本に生息しています。
主に東アジアに生息しています。
日本では北海道・本州・四国・九州などに生息しています。
森林、公園、庭、道端などに生息しています。
成虫
シロヒトリは摂食するかは不明です。
夜間に活動し、寿命が尽きる前に番(つがい)を探します。また、街灯などの光に惹かれる性質があります。
敵が近づくと翅を上げて、威嚇します。これは腹側にある警告色を見せるためでもあります。
オスは腹部の先端に「ヘアペンシル」という毛束の生殖器官があります。
これは普段は腹部に収められていて、メスに遭遇した時にヘアペンシルを出し、フェロモンを放出します。このフェロモンには独特な匂いがあり、メスの交尾を促します。
また、ヘアペンシルはチョウやガの種類によって毛束の本数と色が違います。
翅を開張すると5 – 6cm前後になる、中型の蛾です。
幼虫
成熟した幼虫の体色は黒色で、体は茶色の剛毛で覆われています。地上を移動することが多く、ガの幼虫の中では移動速度が速いといわれています。
幼虫は食事の為にほぼ一日中移動し、道路をよく横断します。画像もアスファルトの道路で移動中の姿です。
多くの毛虫と異なり、毛に毒はありません。
幼虫は最大で6cmになります。
食草はスイバ、イタドリ、ギシギシなどのタデ科、タンポポなどのキク科、オオバコなどのオオバコ科の植物を食べます。
成虫の見た目
シロヒトリは真白の翅と腹部と脚にある赤色の模様が特徴です。
基本的に全体は白色で構成されています。 この白色の翅に模様はありません。
腹部は赤と黒の斑点が並んでいます。これを威嚇する時に見せることで警告色を見せます。また、背面は黒の斑点があります。
脚の根元は赤色で先端の部分は白色です。触角は白色または黒色で、目は黒色です。
オスメスともに見た目に大きな違いはありません。
シロヒトリとアメリカシロヒトリ
シロヒトリはアメリカシロヒトリ(学名:Hyphantria cunea)は名前も姿も似ていますが、2種の生態と姿を比べると違いがあります。
リストにすると次のようになります。
シロヒトリ
- 幼虫の姿は茶色の剛毛で覆われている
- 食草はタンポポなどの草を食べる
- 成虫は真っ白な模様のない翅をしている
- 腹部には赤と黒の斑点がある
- 脚の根元が赤色で先端は白
アメリカシロヒトリ
- 幼虫の姿は白色または薄い黄色の剛毛で覆われていて、黒と黄色の斑点がある
- 食草は広食性で主に落葉樹の葉を食べる
- 成虫は白の翅に黒い小さな斑点があるが、真っ白な模様のない翅の個体もいる
- 腹部は白色または茶色
- 脚は白色
幼虫の姿は全く違います。また、シロヒトリは草を食べますが、アメリカシロヒトリは落葉樹の葉を食べます。
成虫の姿は非常に似ていますが、見分ける方法は腹部と脚の根元の赤色の有無を確認することです。
赤色があればシロヒトリ、赤色が無ければアメリカシロヒトリです。
シロヒトリは食害を起こしませんが、アメリカシロヒトリは樹木を枯らす食害を引き起こすので害虫とされています。
また、アメリカシロヒトリに似たキハラゴマダラヒトリ(学名:Spilosoma lubricipedum)がいますが、キハラゴマダラヒトリは腹部が黄色またはオレンジ色をしているため、区別できます
まとめ
個人的な話ですが、私がこのブログを始めるきっかけになった蛾です。真白の美しい翅に衝撃を受けたことを覚えています。