ニシキオオツバメガ

学名:Chrysiridia rhipheus
- 分類:ツバメガ科
- 前翅長:4cm前後
- 時期:3 - 12月
- 分布:マダガスカル島

分類
ニシキオオツバメガはツバメガ科に属しており、その中のオオツバメガ亜科に分けられていてます。
オオツバメガ亜科のニシキオオツバメガ属に分かれています。
ニシキオオツバメガ属はニシキオオツバメ・ナミガタニシキオオツバメガの2種類だけです。
生態
1年に何回発生するかは不明ですが、通年見られるそうです。
生息域
アフリカ東岸沖のインド洋に浮かぶ、マダガスカル島にのみ生息しています。
森林、熱帯雨林、高原などに生息しています。


成虫
蛾の成虫の多くは夜に活動しますが、ニシキオオツバメガは昼に活動する蛾です。最も成虫が見られる時期は5~7月と言われています。
ニシキオオツバメガは日中に活動し、様々な花から吸蜜します。特に白または白がかった黄色の花を好みます。
モモタマナ、チャノキ、ビワ、ユーカリ、マンゴーなどの密集した小さな花を好み、蜜を吸いに訪れます。
翅を開張すると7.5 – 9.5cm前後になります。

幼虫
成熟した幼虫は体色が黒色で、背面が白または白がかった黄色で黒色の斑点があります。 体に毛先が太い毛が生えています。疣足はオレンジ色で頭部もオレンジ色です。
食草は「Omphalea Euphorbiaceae」などのトウダイグサ科の植物を食べます。
トウダイグサ科の植物には有毒アルカロイドが含まれており、成虫になった後も毒として機能しています。

成虫の見た目

ニシキオオツバメガは金属光沢を帯びた翅が特徴です。
表側の翅の下地は黒色で、前翅には金属光沢の緑色の帯模様があります。後翅は青い斑点と見方によっては赤から紫まで虹のように変わる赤い斑点があります。
裏側は表側とあまり変わりませんが、裏側の方が金属光沢を帯びた色が多いです。
金属光沢の部分には色素がなく、光沢や輝きはニシキオオツバメガのリボン状の鱗粉に彫られた微小な溝に屈折した光が干渉しておきる構造色です。


ニシキオオツバメガと人間の文化
ニシキオオツバメガは「世界で最も美しい蛾」と言われています。チョウ目昆虫のなかで最も印象的で美しい種として取り上げられることが多い蛾です。
そのため、野生で収集され、国際的な蝶の取引のために商業的に育てられています。
また、その美しさからビクトリア朝時代のイギリスでは翅が装身具に加工されたり、宝石として扱われたりしていました。
マダガスカル島では
マダガスカル島では現地語でニシキオオツバメガを「Adriandolo」(アドリアドロ)又は「Lolonandriana」(ロロアンドリアナ)と呼びます。
前者は「高貴なるチョウ」、後者は「高邁なる精神」を意味します。
「lolo」(ロロ)は「霊」または「蝶」を意味する言葉です。これは蛹が覆われた死体に似ているためであり、蛹から成虫に羽化するときの姿が死体から魂が出る姿に見えるため、このような意味が付けられました。
また、マダガスカルの人々は死者や祖先の魂が鱗翅類の形で現れると信じているため、ニシキオオツバメガを攻撃するのは祖先を攻撃することと同じことだという考え方があります。


まとめ
ニシキオオツバメガを漢字で書くと「錦大燕蛾」になります。錦は様々な色糸を用いて織り出された絹織物の総称を意味する言葉です。
様々な色に変化するニシキオオツバメガにぴったりな名前だと思います。

