オスジロアゲハ
学名:Papilio dardanu
- 分類:アゲハチョウ科
- 前翅長:4 – 5cm前後
- 時期:不明
- 分布:サブサハラアフリカ
生態
1年を通じて何回発生するかは不明です。
生息域
北アフリカ以外の主にマダガスカルを含むサブサハラアフリカのほとんどの地域に生息しています。
サブサハラアフリカとはアフリカのサハラ砂漠より南の地域です。サハラ以南のアフリカともいいます。
熱帯雨林、雲霧林、公園などに生息しています。
成虫
オスジロアゲハは日中に活動し、ランタナなどの様々な花から吸蜜します。また、腐った果物の汁も吸います。
オスは湿った砂や水辺で生殖のために必須なミネラルを補うために吸水します。
翅を開張すると8 – 14cm前後になる、中型の蝶です。
幼虫
成熟した幼虫の体色は緑色で、頭部付近と尾部に二対の短い黄色の突起があります。疣足は白色です。 背面に黒い模様が少しあります。
他のアゲハチョウ科の幼虫のように、頭部付近に眼状紋があります。
食草はシトラスなどのミカン科、「Xymalos」(レモンウッド)などのモ二ミア科の植物を食べます。
成虫の見た目
オスジロアゲハは白色の翅と黒い縁取りが特徴的です。
翅の表側は白色で、翅全体に黒い細い翅脈が走っています。前翅は白の翅に黒い縁取りがあります。その黒い縁取りに楕円形の白の斑点が一つあります。後翅には黒い縁取りに白の斑点がまだらにあります。また、尾状突起があります。
翅の裏側は模様は表側と変わりませんが、全体的に色が薄くなり、黒色の部分が茶色になります。
上記の特徴は全てオスの特徴です。オスジロアゲハはオスでも見た目が大きく異なる亜種もいます。今回の画像の個体は「P. d. cenea」という亜種です。
メスは擬態の多型現象が顕著で、主にマダラチョウの仲間に擬態しています。
メスの多型現象
オスジロアゲハのメスは地域ごとに毒のある蝶に擬態しています。毒のない生物が毒のある生物の模様や外見を模倣することをベイツ型擬態といいます。
オスジロアゲハのメスの擬態のパターンは大きく分けると3つに分けられます。
- カバマダラグループ ・・一番多く擬態されているグループ
- シロモンマダラグループ ・・シロモンマダラに擬態、尾状突起が無い
- ホソチョウグループ ・・翅の中央に黄色などの大きな斑点がある
擬態する多くのメスの蝶には尾状突起がありません。しかし、一部の地域ではオスの模様と尾状突起がある姿をしたメスもいます。
また、蝶だけでなく蛾のツバメガ科に模倣するパターンもあるそうです。
このようにメスにいくつかの擬態の型が現れる現象のことを多形現象といいます。
まとめ
イギリスの昆虫学者「E.B.ポールトン」(1856年-1943年)はオスジロアゲハのことを『世界で最も興味深い蝶』と言いました。
それだけ様々な形態・生態をしている不思議な蝶です。