カラスアゲハ
学名:Papilio memnon
- 分類:アゲハチョウ科
- 前翅長:6 – 8cm前後
- 時期:4 - 10月
- 分布:東・東南アジア
生態
4 – 10月頃に発生し、1年のうちに3~6回発生を繰り返す、多化性です。
生息域
インド、ネパール、バングラデシュ、ミャンマー、中国、台湾、日本、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアなど主に東・東南アジアに生息しています。
日本では近畿地方から南西諸島まで見られる、南方系の蝶です。しかし、近年関東地方などに北上し、徐々に生息域を広げています。
森林や市街地などに生息しています。
成虫
ナガサキアゲハは日中に活動し、ポインセチア、ジャスミン、ランタナなどの様々な花から吸蜜します。
オスは湿った砂や水辺を訪れ、ミネラルを摂るために吸水します。
翅を開張すると12 – 15cm前後になる、日本産のチョウではオオゴマダラに並ぶ、大型のアゲハチョウです。
幼虫
若い幼虫は鳥の糞に擬態しています。
成熟した幼虫は体色が緑色で、白い帯模様が特徴的です。
成熟した幼虫は最大で6cmにもなる、日本のアゲハチョウ科の幼虫の中では最大級の大きさです。
他のアゲハチョウ科の幼虫と同じく、頭部付近には目玉模様があります。
食草はカラタチ、ミカン、グレープフルーツなどのミカン科の植物を食べます。
成虫の見た目
ナガサキアゲハは性的二系が著しい蝶です。 オスメスともに尾状突起が無いのが特徴です。
オス
オスは全体的に黒色で翅の表側全体に青色の鱗粉で覆われています。
前翅の付け根に赤い縞模様がある場合とない場合があります。
翅の裏側は体の内側に向かって赤い斑点があります。後翅の外縁には赤い斑点が少しあります。
メス
メスは表側の前翅が下地が灰色または茶色で黒い翅脈が目立ちます。前翅の付け根に赤い縞模様があります。
後翅は下地が黒色で白い斑点と赤の斑点があります。
翅の裏側の模様は表側の模様とほぼ同じです。
メスの「有尾型」
上記でオスメスともに尾状突起が無いのが特徴といいましたが、メスには尾状突起がある「有尾型」がいます。「有尾型」は非常に珍しい個体です。
有尾型は日本でもまれに発見されています
また、日本では南の個体群ほどメスの白色部が広くなる傾向があり、九州や沖縄では前翅にまで白い部分が広がる個体もいます。
有尾型のメスは腹部の色にも特徴があります。オスと無尾型メスが全体黒色なのに対して、有尾型メスの腹部は背面のみ黒色でそれ以外は濃い黄色になります。
画像の個体は片側だけに尾があります。
まとめ
ナガサキアゲハの和名はドイツの医師・博物学者シーボルトが長崎で最初に採集されてことから由来しています。
また、ナガサキアゲハの英名は「great mormon」(グレートモルモン)と呼ばれています。