ベニハレギチョウ
学名:Cethosia biblis
- 分類:タテハチョウ科
- 前翅長:3 – 4cm前後
- 時期:一年中
- 分布:東南アジア
生態
1年を通して発生する多化性です。
生息域
インド、ネパール、タイ、マレーシア、中国、フィリピンの島々、インドネシアなどの主に東南アジアに生息しています。
東の限界はフィリピン、南の限界はインドネシアまでです。
森林、熱帯雨林などに生息しています。
成虫
ベニハレギチョウは日中に活動し、様々な花から吸蜜します。
幼虫が毒のあるトケイソウ科を食べるので、毒を体内に蓄えていて、鳥などに捕食されるのを防いでいます。
幼虫・成虫の派手な模様は自分に毒を持っていることを知らせる、警戒色です。
翅を開張すると8 – 9cm前後になる、中型の蝶です。
幼虫
成熟した幼虫の黒色で、体の節ごと赤と白の縞模様と黒い棘があります。
頭部と疣足は黒色です。頭部にある棘が一番長いです。
食草はトケイソウ科の植物を食べます。
トケイソウ科植物にはアルカロイドが含まれており、成虫になった後も毒として機能しています。
成虫の見た目
ベニハレギチョウは表側と裏側で模様が大きく異なることが特徴的です。また性別によって、翅の色が異なります。
表側はカバマダラに似た姿をしています。前翅は黒い縁取りで白い小さな斑点があります。体の内側が赤色です。後翅は体の内側と縁に黒い小さな斑点があります。
裏側は「晴れ着」と称されるほど、鮮やかな模様をしています。黒、赤色をベースに水色、ピンク、白が混じりあった複雑な模様をしています。 また、縁の黒と白のレース模様が特徴です。
オスは鮮やかな赤色ですが、メスは赤色の部分が灰色がかった茶色をしています。
多くの亜種
ベニハレギチョウの亜種は現在約27種類が確認されています。亜種ごとに表裏側の模様や色が異なります。
一部をリストにすると次のようになります。
- C. b. perakana(1902) ・・・赤色が濃い
- C. b. insularis(1861) ・・・オレンジ色に近い赤、裏側の白い部分が多い
- C. b. tambora(1861) ・・・オレンジ色で裏側が黄とピンク色が多い
一言でベニハレギチョウといっても、オレンジ色や白色が目立つ個体など、様々な色・模様が存在します。
ベニハレギチョウは「common lacewing」(一般的なレースウィング)と言われるほど、亜種の数が多いハレギチョウです。
また、一番最近に確認された亜種「C. b. pemanggilensis」は1978年とまだまだ亜種が発見されることがあるかもしれません。
おそらく、上記の画像の個体は赤色が全体的に濃いため、「C. b. perakana」だと思います。
まとめ
ベニハレギチョウと同属の仲間でアカハレギチョウ(学名:Cethosia cydippe)がいます。
アカハレギチョウは表側の翅の模様はベニハレギチョウと似ていますが、裏側の模様は大きく異なります。